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2万円「払って」登山道をなおす活動に参加してきた話【さとゆみの今日もコレカラ/第 329 回】

朝起きたらほんのり筋肉痛。よく寝た。気持ちの良い朝。

昨日は、ライティングゼミメンバー9人で、南アルプスの日向山の登山道を修復するボランティアに参加していた。いや、違う。ボランティアじゃないや。1人2万円支払って、登山道を整備するワークショップとアクティビティに参加していた。

きっかけは、CORECOLORでインタビューさせていただいた登山家の花谷泰広さん。登山界のアカデミー賞とも言われるピオレドール賞を取った方なのだけれど、取材に行ったとき花谷さんは「ヒマラヤに登るよりも断然エキサイティングなことを始めたんです!」と、めちゃくちゃ幸せそうに登山道の環境保全の楽しさを語ってくれた。

ヒマラヤ登るよりエキサイティングな活動? それが登山道の修復って、いったいどゆこと? 聞けば、わざわざお金を払ってこの活動に参加する人たちが引きも切らないのだという。

取材から帰る頃には、ライターをしてくれたゆりちゃんと一緒に「私たちもやってみたい!」となっていた。記事を読んだみんなも同じだったみたいで、昨日ゼミメンバー有志で山に登ってきたのだ。

具体的には、保全活動をする方々の指導のもと、山にある枯れ木や落ち葉、花崗岩の砂などを使って、崩れかけた登山道にみんなで階段を6段ぶんを作ってきた。

楽しくて、勉強になって、みんな大興奮だったワークショップや修復活動に関しては多分ほかのメンバーが感想アップするだろうから、私は何よりも感動したこの活動の「仕組み」について書きたいと思う。

この「登山道を修復して、山に生物多様性を取り戻す」という活動を、花谷さんたち「北杜山守隊」は、ボランティアではなく「事業」として行っていることについて、だ。

つまり、私たちのように、山の保全に興味を持った人たちが、ボランティアで参加するのではなく、アクティビティとして、レジャーとして、お金を払って参加する。私たちは、その日一日をただただ楽しむ。そしてそこで集まったお金は、山道を守る活動の広報費や、その技術を持つ人材を育てるための教育費に充てられる。

国家予算だけで山道の修復をしようとすると、人足費や資材費にしかお金が使えない。それじゃ到底、山の保全には間に合わないから、ボランティアの善意に頼ることになる。そのようなやり方では、この末期的な日本の登山道を救うことができない。そこで花谷さんが考えたのが、この活動自体をアクティビティにして、お金を生む仕組みを作ることだった。

私たちはお金を払って、この活動に参加する。

なぜ、登山道の修復が必要なのか。どう直せば生態系が復活すると思うか。午前中はフィールドワークをしながら、登山道を観察していく。いい天気なのに、空を見ることはほとんどなく、ずっと地面を見ながら雨の通り道を想像しながら、みんなであーでもないこーでもないとディスカッションしていく。

そして午後からはいよいよ、崩れた登山道にステップを作る。どう階段を配置すれば、生態系にとってよい道になり、人も歩きやすい道になるだろう。パズルをするように、みんなでその場にある木を見ながら考える。

木を運んだりひっくり返したり削ったりして、6段の階段が生まれる。そこを登山者の方が通るのを見た時は、ちょっと信じられないくらいの充実感があった。

たった6段のステップだけど、このステップがあることで、その両脇の緑たちは多分息を吹き返すだろうという。

これは2年前に修復した場所だよと言われてみた区画には、新しい緑が生えてきていて、じんわりと泣けそうになった。私たちが階段を作った場所も、きっと来年、再来年、緑が育つんだ。「来年また、絶対こようね」とみんなで言い合いながら山を降りる。

花谷さんがいうには、こうやって山の保全に関わり「当事者になった」山は、ただ登っただけの山とは全然違って「ホームマウンテン」になっていくのだという。この日向山にも、自分が保全した場所のその後を何回も見に来る人がいたり、何度も活動に参加する人たちがいるらしい。私も家に帰ってすぐに、登山好きな母親に、「今度ワークショップに一緒に行こう」と熱弁してしまった。アルプスにホームマウンテンができた。

苦行のように思っていた、そして全然実感を持って感じられなかった「環境保全」という言葉が、こんなに手触りのある楽しい体験として得られることが、本当に驚きだった。

楽しいからお金を払う。お金があるから人を雇い育てることができる。より楽しい経験を提供できる。楽しいと噂を聞くから参加者が増える。山に興味を持つ人が増える。

こんな大きくて幸せな循環の一部になれたことがとても嬉しかった。そして、こういう循環を生める人になりたいのだよなあとも思った。

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【この記事をおすすめ】

どうしたら水の流れを抑えられるのか、植生が戻ってくるのかを考えながら作業をするんです。考える要素が大きいんですよ。ものすごく頭を使う、知的なアクティビティです。

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