
もっと鈍く。もっとゆっくり。もっと、もっと。【今日もコレカラ/第605回】
念願の「鈍考(donkou)」を訪れた。
ブックディレクター・幅允孝さんの私設図書館でありカフェ。京都・三宅八幡にある。
「鈍考」に入るには、事前に予約を入れる必要がある。11時から、13時から、15時からの3枠。一度の予約で、1時間半だけ滞在することができる。
叡電に乗り三宅八幡の駅から徒歩13分。人通りもまばらな細い道を行くと、タッチキーで入場できる建物が現れる。入った瞬間、木の香りがする。そして、本のにおい。紙のにおい。
入口のロッカーで荷物を預ける。幅さんは「ケータイ電話もロッカーに入れるといいですよ」とおっしゃってたので、もちろん、そうする。
中でカフェの店員さん兼案内係の方がささやくような声で、この場所の使い方を教えてくれる。
どこで本を読んでもいいです。
ソファの上でも、畳の上でも、縁側でも。
私は、雨があがってキラキラと水滴がしなる庭(というか森だ)を眺める縁側のソファに座った。木村伊兵衛さんの写真集「パリ」を選んだ。
途中、深煎りしたコーヒーが運ばれてくる。音素材として重宝されそうな、葉っぱの揺れる音と、鳥の鳴き声が聴こえる。すーっとあたりの音が薄くなって、私は1950年代のパリに連れていかれる。
幅さんは先日のトークイベントで、「東京にいると時間が細切れになる。読書がプラクティカルになる。もっとゆっくり読書ができる場所がほしかった」とお話されていた。
途中、カフェの方が縁側に出ていらしたので「先ほどお話くださったデザートのプリンをください」と伝えたら、「ごめんなさい。もう、お時間なので」と言われ驚く。私は1時間以上も、写真集を読み耽っていたのか。
ゆっくり、ゆっくり。
石臼をこするような時間だった。
鈍く考える練習。歩く速度を落とす練習。
こうやって生きていきたい。
・・・・・・・
もしも。そんな時間を過ごしたいと思う方がいたら、今日アップした『弱さ考』の著者、井上慎平さんのインタビュー原稿をぜひ読んでもらえたら嬉しいです。
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