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執筆合宿【今日もコレカラ/第625回】

ロンドンから車で2時間半、見渡す限り小麦畑の中で、友人の著者さんと執筆合宿中だ。

レンタカーを借りにいく時間も、タクシーでスーパーに行く時間も勿体ないねと話し合い、ウェイトローズの宅配を頼んだのだけれど、昨日はひねもす到着せず。

宅配業者に連絡すると「言われた住所まで行ったけれど家を見つけることができなかった」というので、今朝は宅配がくる時間にロードサイドまで出ばって、やってきたトラックに「おーい! おーい! ここだよー!」と手を振って、やっと食糧を手に入れる。
無人島か。

コンテナごとトラックから降ろされた食糧を、えっちらおっちら家まで運ぶ。道路から家まで徒歩10分。これで飢えずにすむ。
やっと手に入れたネギを切って、友人が持参してくれたそば&とろろ、私が持参した大根おろし&めんつゆでいただく。
旨い。

もともとは私が友人の著者さんに、「一緒に執筆合宿しません?」と声をかけたのが始まりだった。

「さとゆみさんはいつもどこで書くんですか?」と聞かれたから、自分の本を書くときは京都のエアビーか、徳島県の神山が多いですと答えたら「ああ、京都も徳島もいいですねえ。でも、たまには別の場所にしませんか?」と言われた。
「あ、じゃあ、書き勝手がよさそうなところ、ちょっと探してみますね」「私も探します」なんて会話をしていたのがたしか、GW前のこと。

次に連絡がきたときは「さとゆみさん、イギリス、どうでしょう?」と言われた。
京都か徳島かと話していた次の提案が海外とは思わなかったよね。

普段私はライター仲間によく、「長崎の五島で書きません?」とか、「宇治で書かない?」とか声をかけるので、「さとゆみさんは渋谷で待ってる、くらいの勢いで人を連れ出す」と言われる。
多分、彼女のイギリスは多分、私の五島や宇治のような感覚なのだろうなと思った。
ふふ、楽しい。喜んで、と答えた。

✳︎

何も、ない。
本当に、何も、ない。
書いて、食べて、疲れたらちょっと散歩して、書いて、少し話をして、また書く。ときどき本を読む。
リビングに大きなテレビがあるけれど、まだ一度もついていない。
毎朝庭に出勤してくるグースの顔の見分けがつくようになってきた。
沼デビューしたばかりであろう赤ちゃん鴨が、この4日のうちに泳ぎが上手くなった。

とても幸せだなと思う。
今はこれを旅行というか、合宿というか、そういう形でしているけれど、いつかは生き方自体をこうしたいなと思う。
書いて、食べて、疲れたらちょっと散歩して、書いて、少し話をして、また書く。ときどき本を読む。
そして別の場所でまた、
書いて、食べて、疲れたらちょっと散歩して、書いて、少し話をして、また書く。ときどき本を読む。

そんなふうに死ぬまで生きていけるようになるためには、何者になればいいだろう。
どんなスキルを手に入れればいいだろう。
書くことの先にそれがあるだろうか、ないだろうか。ないなら、なにをどうすればいいだろうか。
そんなことを頭の片隅で考えながら、いまはまず、書いている。

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※「今日もコレカラ」は朝7時に更新です。バックナンバーが読めるようになりました。

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