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旅の螺旋階段【今日もコレカラ/第781回】

先日のエッセイ講座では「旅」をテーマにエッセイを書いてもらった。
いろんな切り口の「旅」があって、いろんな景色があって、いろんな記憶があった。

旅と読書は似ている。旅をしたら家に戻る。本を読んだ時も同じだ。今いる場所は変わらない。だけど、旅をしたあとは(読書をしたあとは)、もうもとの自分ではない。
同じ場所に帰ってきているようで、実は違う場所にいるなあと思う。

以前こんな文章を書いた

メーテルリンク作の『青い鳥』は、チルチルとミチルの兄妹が、幸せの青い鳥を探して異界を旅する物語だ。どこに行っても青い鳥は見つからず、あるいは見つかっても連れて帰ろうとすると死んでしまう。失望した二人が家に戻るとそこに青い鳥がいたという話。ゆえにこの作品は、「近すぎて気づかない場所に本当の幸せがある」と解釈されることが多い。
日常にある幸せに気づけないというのは、たしかにそうかもしれない。でも、この話の肝は「旅をした」ことにあると、私は思う。旅の間に二人はいくつもの経験をした。家を出る前の二人とは別人だ。別人になっているから、自分たちの居場所を再解釈できる。
たとえるなら、螺旋階段をのぼったようなものだろうか。上から見たら、一周回って同じ場所に戻ってきたように見える。でも横から見たら、ずいぶん前に進んでいる。
新しいものさしを手に入れて戻ってきたとき、慣れ親しんだ我が家にも再発見が生まれるだろう。ずっと部屋の中にいたならば、鳥は青くならないのだ。
昨日、旅は思い出すためにすると書いたけれど旅は、戻ってくるためにするものでもある。
戻ってきた場所をもっと愛するためにする。
チルチルミチル。すきすきみちる。

チルチルミチル【さとゆみの今日もコレカラ/007】より
りょーこの「旅」のお話もまた、違う自分になって戻ってきた話。
私もいつか行きたい、カミーノ一人旅。ぜひ週末のお供にどうぞ。

※「今日もコレカラ」は朝7時に更新です。バックナンバーが読めるようになりました。

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