
首筋にキスマーク【今日もコレカラ/第908回】
ポルトガルの小さな港町のレストランで書いている。
本当はもう1日ポルトの街を観光してから歩き始めようと思っていたんだけけど、ワインがおいしすぎて、このままポルトにいたら歩くのが嫌になってしまいそうと思ったので、予定よりも1日早く歩き始めた。
レストランでは、英語が全く通じない。私の英語が汚すぎるせいかと思ったが、英語を話す人が一人もいないようだった。
カミーノの巡礼地は全世界から人が集まるので、英語コミニケーションに慣れてる人たちが多い印象。
ただ、私が今夜泊まった街は、そこまでメジャーな街ではなく、そのレストランも、地元の常連さんたちがほとんどのようだ。
お客さんの中にちょっとだけ英語が話せる人がいて、彼女はそのおじさんを通訳にと連れてきた。
その人を介して片言どおしの英語で注文をしたら、ワインがボトルで2本出てきて、スープとリゾットとフリットと山盛りのチーズが出てきた。
というわけで、今日20キロ以上歩いたけれども、その分のカロリーをはるかに上回る夕食をいただいている。
いろいろと思ってもいないものが出てきているけれど、全ておいしいし、サービスをしてくれるお姉さんはとても優しくてチャーミングだし、おじさんも親切がすぎる。なんて素敵な巡礼初夜だろう。
私がご飯を食べている間に、小学1年生くらいの男の子を連れた家族がやってきた。その瞬間、サービスをしている女性がその男の子に駆け寄ってたくさんキスをする。チュッの音が、私の席にまで聞こえてくる。
男の子は照れ臭そうにしている。ちょっと、胸が熱くなる。
家族以外にたくさんの愛情を受けて育つのって、素敵だよね。
途中からGoogle 翻訳の存在を思い出して、iPhoneの画面を見せながらコミュニケーションを取ったら、いきなり全てが通じた。
でも、ちょっとだけ英語しゃべれるおじさんと、チャーミングなお姉さんと、身振り手振りで話をするのは楽しかったな。
帰りに、「すべての料理がおいしかったよ。ありがとう」とGoogle 翻訳で伝えたら、お姉さんはくしゃっと笑って手を広げ、私の首筋にも大きなキスをしてくれた。
かくていま、私の首筋には、彼女のキスマークがある。
大人だって、家族以外に愛情を受けると、こんなに嬉しい。
オブリガーダ。
【この記事をおすすめ】
この巡礼旅を、とある作家の著書で知った私はここ数年の間、「いつか私もカミーノに」と夢見ていた。毎朝毎晩、通勤電車に揺られながら「カミーノ」「女ひとり旅」などの単語をグーグル検索にかけては、仕事から逃避する日々。
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