
読んだふりして読んでない本【今日もコレカラ/第911回】
過去に何度も「それって、『ほにゃらららら』の本みたいな話だね」と言われ、「ほんと、そだねー」なんて返事をしたはいいけれど、実際のところ、読んだことあったっけって本がまあまあある。
たとえば、『星の王子さま』。
「かんじんなことは、目に見えないんだよ」というが名セリフがあるのは知っている。だから、だいたいそんな話なのかなと思っていたけど、よくよく考えたら、だいたいそんな話ってなんだ? そして、このセリフは誰の発言なのだろう。
登場人物は、王子さまと誰なのか。バラの花が出てきた気がする。バラの花と話すの? 星の王子さまは、星から生まれているんだろうか。桃太郎みたいに? それとも、星のように美しい王子さまなのだろうか。かぐや姫のように?
それから、『モモ』。
こちらも、「時間泥棒」という悪党がいるのは知っていた。だいたいにおいて「時間を大切に」みたいな話なんだろうなと思っていた。
こちらは昨年ついに、オーディブルで聞いた。オーディブルはなんと、高山みなみさんが朗読されている(コナン君です)。この、すんばらしい朗読のおかげで、鳥肌たったり、涙が出たり、ぐぐっとなったり、もう最高だった。
『モモ』に関していうと、思っていたのと全然違った。っていうか、思ってたんのと逆だった。
たしかに、結論は「時間を大切に」かもしれない。
でも、そこまでの道筋が、私が想像していたのとまったく違ったし、正確には「時間を大切に」する本ではなくて「いまを大切に」する本だった。
未来のために今をすり減らさない。
これは、去年一年、ずっと考え続けていたテーマだった。なんだ、『モモ』に書いてあったのか、と思う。
もちろんこれは、いま読んだからこそ、響いているのだと思うのだけれど。
この経験でわかったのだけれど、素晴らしい文学って「あらすじ(ストーリー)」が素晴らしいのではない。「テーマ」や「世界観」が素晴らしいのでもない。
そのテーマを・どんな世界観で・どんな物語で・語るのかの、全てが素晴らしいのである。
たったひとこと「いまを大切に」を伝えるために、右から左から、ねじったり回転させたりしながら、物語を紆余曲折させて「体験」をさせてくれるのが、素晴らしいのだなあ。
あったりまえのこんこんちきだと思われるかもしれない。
でも、私は昨日、このことを発見して感動したよ。
いまは、やっぱり、読んだふりして読んだことがない『ハリー・ポッターと賢者の石』をお供にカミーノを歩いています。
【この記事をおすすめ】
書店が舞台とあって、物語にはいろいろな実在の本、映画やドラマが登場する。
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