「能登のいま」で取材させていただいた、ごちゃまるクリニックさん再建応援(11月5日 23:00まで)
9月21日に発生した奥能登豪雨災害。
能登で「ごちゃまるクリニック」を開業する小浦先生が、Facebookにアップされた写真を見て、私は衝撃を受けました。豪雨により1m近い浸水があり、クリニックの1階部分は泥まみれになってしまっていたのです。診療で使われていた医療機器や事務用品は、ほぼ全て使えなくなったといいます。もちろん外来診療もストップしなければなりませんでした。
私が「能登のいま」の取材で、ごちゃまるクリニックを訪問したのが7月。小浦先生に話を聞いたのは、クリニック1階にある待合スペースでした。
「患者さんたちが気軽に集まって、話ができるような場所にしたい」
小浦先生のそんな思いで、広々とした待合スペースには、いくつものテーブルや椅子、ゆったりとしたソファーが並べられていました。
「もっと本を置いてほしい、なんて要望もあるんですよ」と、壁際に置かれた本棚を見ながら笑って話していた、小浦先生の姿も浮かんできます。
インタビューでは、1月の震災から地域の住民の方たち一人一人の心に寄り添いながら、復興の道を歩んでいる小浦先生とごちゃまるクリニックについて、1時間ほど話を聞きました。休日だったので診察室の中も見せてもらうと、そこは医師と患者さんがじっくり向き合えるような温かな雰囲気を感じました。
あの日、小浦先生の話を聞いたあの場所が、豪雨によって泥にまみれ、また失われかけている――。たった2カ月で、ここまで状況が変わってしまうとは。私は想像もしていませんでした。
10月21日に開かれたオンラインでの経過報告会で、小浦先生は「1月の震災のときよりも、つらい」と話していました。浸水後に泥にまみれたクリニックに足を踏み入れた時、「心が完全に折れた」と言います。二重被災がいかにつらいか、その言葉から痛いほど伝わってきます。
震災を乗り越え、ようやく5月に再開できたばかりだったのに、また一からやり直さなければならない。一時は、何も考えることができず、「クリニックを続けるのは無理かもしれない」とまで思いつめたこともあったそうです。
それでも小浦先生とスタッフの方たちは、豪雨災害の直後から地域のお年寄りの自宅を回り、訪問診療を続けてきました。訪問先で診療を終えると、「先生、頑張ってね」と患者さんから励まされることも多いのだそう。その言葉が、また一歩踏み出すための力になっている。地域の人々にとって、これまでもこれからも、ごちゃまるクリニックは、なくてはならない存在なのです。
10月15日には、建物2階の一部スペースを使って、外来診療が再開されました。同じく2階と3階で運営していた、子どもたちのための居場所を提供する「わじまティーンラボ」も中学生以上に限定して再開しています。
決して“当たり前”にあるわけではない日常を取り戻すために、小浦先生とスタッフの方たちは少しずつ、でも着実に歩みを進めています。
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現在、ごちゃまるクリニックでは、クリニックを再建するためのクラウドファンディングを実施しています。浸水した建物は、泥をかき出し、床や壁を剥がして洗浄し、乾燥させてから消毒作業に入ります。災害前と同じように診療ができるようになるまでには、まだまだ時間もお金も必要です。ぜひ皆さまのご支援、拡散をお願いします。
クラファンは、11月5日(火)の午後11時までです。
文/安藤 梢
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