
人生の勝ち組☆【さとゆみの今日もコレカラ/050】
「CORECOLOR って、どうやってマネタイズしてるん?」
取材を申し込んだとき、彼女は私に聞いた。このサイトはゼミの仲間と運営してると説明すると、たいてい同じ質問を受ける。
私はいつも、「マネタイズしてないし、多分これからもしない」と答える。たしかに、サイト運営には年間 500 万円以上かかっている。広告を入れない の? とも聞かれるが、広告営業したら PV を担保しなきゃいけなくなる。みんなには自由に書いてほしい。そして営業に時間も使いたくない。
「でも、まあ、そのうちなんとかなるんじゃないかな。多分、そのうち稼げるようになる気がするし、それまではサイト以外で稼げばいいと思っている」
私はいま、CORECOLOR でゼミのみんなと原稿をやりとりするのが一番楽しい。だから最優先したい。お金は別のどこかで稼げばいい。
こう話すと、たいていの人はすごいねえとか、偉いねえと言う。その言葉には、身を削って後輩を育ててというニュアンスが感じられる。でも、そうではない。私が一番楽しいことをやっているだけなのです。むしろ私の欲に仲間を巻き込んでいる。
また、「偉いねえ」と言われるかなあ。言われたら何て説明しようかなあと考えていたら、彼女は違った。
何かを思いついたのだろう。大きな目をくるくるっとさせて「さとゆみさん、ちょっと聞いて!」と身を乗り出してきた。そして、京都のある素敵な喫茶店の話をしてくれた。品のいい常連客が通う老舗の喫茶店だという。
「そこのマダムが言うにはね、喫茶店だけでは経営が少し厳しい。かといって、自分が理想だと思う店の営業は続けたい。だからね、その喫茶店を続けるために、別でバイトを始めたって言うの」
あ、なるほど、バイトかと思う。
「大切なものを守るために、バイトしてもいいって聞いて、私、びっくりしたの。こんな考え方もあるんやって。さとゆみさんも同じやね! 面白い価値観やねー。ワックワクする!」
頭の中で、カチっと音がした。そうか、私のこの感覚は、本業のためにバイトをするという言葉で説明できるのか。なんだか視界がすっと開けた。
「さとゆみさんは、勝ち組やね。そんなに大切なものがあるなんて、めっちゃ人生の勝ち組やわ。私、そういうおっちゃんやおばちゃんの話をいっぱい聞いて伝えたいねん」
彼女はまた大きな瞳を動かしながら話す。全身がエネルギーの塊だ。そして自分が出会った素敵なおっちゃんやおばちゃんの話をし始める。もう楽しくて楽しくて止まらないといった感じだ。ちょっと待った。そこから先の話は、取材で聞きたい。今は内緒にしといてと制す。
数週間後、私はまた彼女を訪ねた。今度こそ、この人の頭の中、全部聞きたい。そして、そこで聞いた話に私は、何回もぶったまげた。なにそれ、そんなやり方アリ? いやもう最高と、何回も抱きしめたくなった。弾けるように楽しかった時間を、ぎゅっと閉じ込めて、ライターのじゅんがまとめてくれた。
地下鉄のラックに置かれると、3万部がすぐに姿を消す京都のフリーペーパー『ハンケイ 500m』。編集長・円城新子さんの話、アップしました。フリーペーパーなのに広告掲載費が0円て、どういうこと? 今年もっとも脳を揺さぶられた彼女の言葉、みなさんにもお裾分けしたい! めっちゃワクワクする!
________________________
【この記事をおすすめ】
私は、ハンケイの紙面に関しては、できるだけ自由でありたいと考えていま
す。広告掲載料として代金をいただいてしまうと、広告宣伝に対する効果へ
の責任まで意識しなくてはならなくなる。そんなことを意識せずに、心底面
白いと思えるコンテンツの作成に全力を注ぎたい。
広告掲載料は0円。3万部がすぐに在庫切れ。京都の型破りフリーマガジン『ハンケイ
500m』編集長/円城新子さん【編集者の時代 第8回】


