
そうだ、音楽を聴こう。【さとゆみの今日もコレカラ/第 151 回】
インタビューを受けるとよく聴かれる質問の一つに「どんな音楽が好きですか?」がある。文章のリズムが独特だとも言われる。
が、私は音楽を聴かない。家は完全に無音だし、AirPods はノイズキャンセルにしか使わない。ノイキャンしても薄く音楽が聞こえる時は、YouTube で川の音を流す。
3歳から 15 歳までピアノを習っていた。ピアノのレッスンで特に好きだったのは聴音だった。曲を聴いて、それを譜面に起こす。楽譜を見て弾くことよりも、耳コピして弾く方が得意だった。
ただ、その時のクセなのか、音楽を聴くとドレミのカタカナで脳内がいっぱいになる。原稿を書く時、話をする時に音楽がかかっていると、自分の原稿にドレミの文字が重なってきて大混乱する。
なるべく音を聴かないよう、耳を閉じる訓練を続け、今ではだいぶ音に鈍感になった。川の音や雨の音などは、もう音階では聴こえない。カフェでかかる音楽も、だいぶスルーできるようになった。
が、音をキャンセルするのには集中力がいる。疲れている時に音楽がかかる場所でミーティングをすると、ドレミが脳内に降ってきて、自分が何を話しているのか全然わからなくなることがある。
今世で音楽を楽しむのは諦めようと思っていた。
ところが、最近、必要に迫られて音楽を聴いている。2月から3月にかけては、ボブ・マーリーを繰り返し聴いていた。CORECOLOR に、ボブ・マーリーのドキュメンタリーのレビューが上がってきたからだ。
昔、ある編集者さんに「ライターの文章は、編集者の器を超えない」と言われたことがある。
書き手がどんなに良いことを書いていても、その本質を編集者が理解できないと、その文章の魅力をそれ以上伸ばすことができない。
レビューサイトの編集長をやるなら、さとゆみは、もっと音楽を聴いたら良いんじゃないかな。書籍を読んだり演劇を見たりするくらいには、音楽を聴いた方がいいと思う。じゃないと、音楽について書く書き手の人が不幸だよ、と。
おっしゃる通りです、と思った。
かくて、最近は非常に偏った音楽の聴き方をしている。
インタビュー相手の事前取材をするように、レビューで上がってきた音楽家について調べて、系統を汲む音楽を聴き、競合の音楽を聴き、本人の曲を聴く。時代の中でどのあたりに位置するアーティストなのか、他との違いは何かを想像する。脳内にポジショニングマップを展開する。人に教えてもらうこともある。
楽しんで聴く、とは全く違う聴き方だと思うのだけれど、新しいことにチャレンジするのは楽しい。試験勉強のように、音楽を聴いている。知らない世界が広がっている。
今日、CORECOLOR で公開したボブ・マーリーのドキュメンタリー。私も映画館に観にいったが、紫炎がくゆる映像であり音楽であった。メンバーのレビュー、楽しんでもらえたら嬉しいです。
LOVE THE LIFE YOU LIVE.
レゲエを、聞くのではなく、感じることができた。
僕自身がレゲエの一部に属することができた。


