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秋の季節の物語【さとゆみの今日もコレカラ/第 262 回】

後藤正治氏の自薦エッセイ集に『秋の季節に』がある。江夏豊、有森裕子、福永洋一など、スポーツ選手のノンフィクションに名作が多い方である。

この「秋の季節」とは、スポーツ選手の短い現役時代を春夏秋冬に喩えて表現したものだ。

いまが旬、のぼり盛りのスポーツ選手も良いが、ノンフィクションにするなら秋から冬の季節。かつての自分のような才能あふれる若手が後ろに迫ってきている。その「秋」の季節がノンフィクションとして最も豊潤なものを含んでいると後藤氏はいう。

人間は、衰え、後がない時間に身を置いてからはじめて何かを知ることが多い。スポーツ選手の場合は、それがたった 10 年、20 年の間に凝縮される。だからこそ自分は書き手として、スポーツ選手の「秋の季節」に惹かれるといったエッセイだった。

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今、話題のノンフィクション『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』 を読んだ。このノンフィクションは、井上尚弥本人ではなく、その対戦相手の物語である。彼に敗れ現役を引退したもの、別の道に進んだもの、再起を誓ったもの、まだ立ち直れないものなどの人生が描かれている。

初めて読んだとき、なぜこの本にここまで惹かれるのであろうかと不思議に思った。ボクシングに興味はなかった。恥ずかしながら、井上尚弥の名もこの本で知った。が、一気に引き込まれていったのはそれが、昇り龍がごとく天を目指す井上尚弥の物語ではなく、対戦相手の「秋の季節の物語」だったことも、ひとつの理由ではないかと思った。

ここに登場する人たちは、読む前から全員井上尚弥に負けることがわかっている。しかし、その負け方に人生が濃く浮き上がる。試合に負けて人生に勝つもの。試合に負けて人生も躓くもの。そこに私たちは、自分の人生を重ねる。

今日、著者の森合正範さんに取材をさせていいただくことになっている。お伺いしたいことがたくさんありすぎる。友人たちから「森合さんに伝えてほし

い」と預かった怒涛の感想もいっぱいあって、いま、私の脳内はぱんぱんだ。インタビュー記事は、近く私の note でアップします。ボクシングファンのみな さん、井上さん&森合さんファンのみなさん、ノンフィクションを書くことに興味のあるみなさん、ぜひ読んでくださいね。

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【この記事をおすすめ】

僕は今この登山道の保全活動にフルコミットしています。物事にフルコミットするなんて、人生で初めてじゃないかなあ。

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