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ありがとうに、ありがとう【さとゆみの今日もコレカラ/第281回】

どんな仕事でも、誰かに心底感謝された経験があれば、そのときの気持ちを栄養にして長い時間自分を支えていけるのではないかと思ったりする。

以前、医療用ウィッグのヘアカタログを作っていたときのこと。医療用ウィッグを扱う美容院の美容師さんは、離職率が非常に低いのだと聞いた。

医療用ウィッグというのは、多くの場合抗がん剤治療を前にした患者さんに合わせてカットするものである。

女性の場合、医療用ウィッグが必要になるがんは、婦人科系のがんが多い。罹患年齢も比較的低い。人によっては自分の子どもや会社の同僚にも内緒で闘病をする人もいるそうだ。そんな人たちにとって、かつらっぽく見えないことはなにより重要だ。

だから、ウィッグをカットしてもらい、自分の頭にフィッティングしたとき、その仕上がりが違和感なくなじんでいたら、本当に感謝されるのだという。涙を流して喜ばれる方が多いと聞いた。娘さんやご主人と来店される方も多く、家族も共に涙されるという。

そういう経験をした美容師さんは、自分の技術がお客さまの闘病を支える技術なのだと思えるだろう。もちろん、普段のヘアカットで感謝されることも多いだろうけれど、この深度の感謝を受け取ることは、仕事をした人の心を一生支えていくものになる。

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ライターも同じだ。

文章を書く行為は、ときどき見渡す限りの砂浜に、さらに砂をこぼすようなものだと思うときがある。

だから、「あなたの文章に救われた」。「あなたの文章で、自分の人生が肯定された」。そう言ってもらえる経験を一度でもしたライターは、どんな武器を手に入れるよりも、強くなる。そういう原稿を書ける自分でありたいと、自分で勝手に努力できるようになる。

そして、こういう強い感謝は、読者の方からもらうこともあるけれど、どちらかというと取材相手からもらうことが多いように感じる。

能登にいったメンバーからの原稿が続々あがってきている。

取材先に原稿確認してもらったメンバーたちからは、「私が言いたかったのはこういうことでした。言葉にしてくれてありがとう」とか「能登にきて、書いてくれてありがとう」といった言葉をもらったと聞く。

「文章で応援してくれてありがとう」と感謝される。その感謝の言葉に一番支えられるのは、当の書き手だ。そういうつながりを持てた取材相手の方のことは、ずっと忘れない。

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【この記事をおすすめ】

お客さまが近づいてきて、私の顔をじっと見つめこう言ってくれたんです。「実は私の子どもには障害があり、明るい将来が見えなかった。私が先立ったらこの子はどうなってしまうのだろうと不安に感じる。でもヘラルボニーという会社を知って未来に希望をもてた。ありがとう」と。

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