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長生きしたい!【さとゆみの今日もコレカラ/第283回】

「人生100年時代は嬉しくない」

中学生から大学生までを対象にした調査によると、約3分の1が人生100年時代を好意的に受け止めていて、残り3分の2は「そんなに長生きしても……」となるらしい。人類の悲願だった長寿を若者は歓迎していないというパラドクス。

私自身も、そんなに長生きしてもなあ……派だった。

今すぐお迎えですと言われたら嫌だけど、100歳まで生きてくださいと言われると果てない気持ちになる。

ところが最近、断固、長生きしたいと思うようになった。

CORECOLORの取材で、アーティストの田名網先生にお会いしたからだ。

田名網敬一氏。88歳。日本を代表するアーティストで、MoMAをはじめ、世界中の美術館にコレクションされている。

田名網先生は、ライター仲間のしのぶさんの恩師で、しのぶさんが先生と呼ぶので、私も取材中は先生と呼ばせていただいた。このインタビューの2時間がちょっともう、私が立脚している地面なんてぐらっぐらなものだなと思うくらい、人生観を揺さぶられた。

しのぶさんの質問に、先生はとても静かな声でこたえる。巨匠的な風も吹かせないし、威圧的なところもない。ただ、ときどき心臓がばくんとハネるような言葉をおっしゃる。というか、実際、体がハネた。2回くらい、ソファから腰が浮いた。普段私は取材中にメモをとらないのだけど、この日は6回ほど先生の言葉をメモして、ぐるぐるぐるぐるとボールペンで丸がこいした。

今週、国立新美術館で、田名網先生の大展覧会が始まった。

レセプションにお邪魔したが、もう、四方八方から押し寄せるアートの波にどんぶらっこで、ばっさりんこだ。あまりの情報の多さに、コンタクトレンズが乾いて外れかけた。圧がえぐい。ぐいぐいと迫られ、冗談抜きに痩せたと思う。終わったあと、私としのぶさんはイタリアン料理やで到底2人で食べられるはずのない量の食事を注文した。それくらいカロリーを消費したのだ。会場を訪れた人たちも、みな、異常なくらい興奮している。興奮が興奮を逆撫でして、もうコンサート会場にいるみたいだった。

あれはなんだったのかとまだ考えている。

ひとつは生命のエネルギーだ。あの場所には田名網先生のアートに懸けたエネルギーがだくだくと渦巻いていた。

そして、もうひとつは、それが今もまだ続いていることによるライブ感だ。つい先日の取材日に描かれていたアートが、展示室にはあった。

88歳。

今が一番面白いと言う先生に出会って、私は長生きしたいと思った。

先生と私は違う。だけど、私が先生の歳になるまであと40年もある。40年だぜ!

人生100年時代でよかった。

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うまくいかないときに「スランプだ」なんて言う人もいるけど、それはイチローとか大谷翔平とか道を極めた人が言うセリフですよ。スランプなんて、ただの怠け。僕は絶対に言いません。自分の身のほどを知っているからね。だから、毎日一生懸命描いているんです。

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