
一発逆転。評価反転。人生いつでも上書き保存。【さとゆみの今日もコレカラ/第520回】
高校時代、「大学に行ったら思う存分遊べるから、今は勉強しろ」と言った先生がいた。
大嘘だった。
私が通った大学では、1年生からゼミがあった。ゼミの発表が近づくとバイトにもサークルにも遊びにもいけないくらい大変だった。だがしかし私はここで、研究することの圧倒的な面白さを初めて知った。
国文科だったので、文学作品について論じるのだが、卒業論文の基準は比較的厳しく、これまで誰も研究していないテーマを見つける必要があった。
また、卒業論文では、生きた作家の研究をしてはいけないというルールがあった。なぜなら、生きた作家の場合、最新作が出たら過去作の評価が変わる可能性があるからだと説明された。
2部で完結したと思った作品が3部作になったら、1作目と2作目の評価は変わる。駄作だと言われていた作品の伏線が新作で回収されて、傑作への序章になることもある。
論文を書いている途中に評価が変化してしまうことを避けるために、卒論では完全に死んでいる人、つまり二度と著作が増えない作家を選んで論じるように指導された。
私はこのルールが好きだ。
大人になってからも、このルールを思い出すことで何度も救われた。
つまり、過去の作品の評価は、未来の作品で変わるのだ。
作品の話だけではない。
たとえば過去の失敗は、その先に一発逆転すれば「大成功を生み出したきっかけ」に転じる。
つまり、過去は変えられる。
生きているうちは、いつからでも変えられる。
年に何本もゼミの発表があってヒイヒイ言っていた学生時代。あのころ学んだ一番大事なことは、それだった。
ローマ到着。
建築や彫刻を見るたび、作家が人生のどのあたりで作った作品なのかに想いを馳せる。
「今日もコレカラ」は、毎朝7時に更新して、24時間で消える文章です。今日もコレカラ、良い一日を。
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