
美味しいけれど悲しかった【今日もコレカラ/第582回】
昨夜、21時からのミーティングの前に、さくっとお夕飯をしたくて、近場のイタリアンに予約を入れた。
電話をすると、小さな店なのでもし混み合ったら2時間までのご利用になりますと言われた。はい、それでお願いしますと返事をする。
店はたしかに小さくて、カウンターに座れるのは5人だけ。奥にテーブルが2つ。
3人先客がいて、私が席に座るために、両隣の人が椅子を動かしてやっと通れる感じだった。
メニューを見ると、店主の地元である北陸の食材を使った料理のようだ。黒板には旬の食材のオススメが書かれており、これは当たりかも、と思わせるラインナップだった。
店主が「お一人の方にはハーフサイズもできますよ」と言うので、クレソンのサラダと、ホタテととびっこのタリアテッレと、オリーブをもらう。もちろん、ワインも。
思った通り、料理はとてもおいしかった。左隣にいたカップルも、おいしいね、おいしいねと言いながら食べている。
ところが、雲行きが怪しくなったのはその後だった。
店主が「今日は、日本人の客だけで本当に嬉しい。3日連続で外国人客が1人も入っていないんだよ。こんなことめったにないから、昨日はシャッター下ろした時に、『勝った!』と思ったね」
その後、飛び込みで来た外国人の2人組を、店主が断っているのが聞こえた。席はまだ、空いている。
そして戻りしなに、「日本人のお客さんは、日本人割だから。ここにいる人たちは、少しサービスしますから」と付け加えた。
気になったのは、私の隣のカップルの存在だった。
女性の方は「最後にデザートとお紅茶をいただけますか?」と上品な話し方をしていた。お紅茶なんて、なかなか言えない。でも、滝川クリステルさんに似た彼女は、おそらく欧州のほうの血が入っている顔立ちだった。何度も、日本人がいい、外国人は嫌だと言われて気分を害さないだろうかとヒヤヒヤした。2人がお会計を、と席をたったのをしおに、私も店を出ることにした。
財布を出そうとしたとき、新しく2人の客が入ってきた。ちょっと待っててね。バイトには金を触らせないんだ、俺が会計するから、と店主が言う。
入れ替わりで入ってきた、多分オーストラリアからの客は、英語を話せるバイトの女の子が接客をしている。店主は彼らを揶揄する言葉を日本語で話し私たちから笑いを取ろうとした。
そして私には、「はい、日本人割」と、伝票をくれた。
料理はとても美味しかった。
思ったより、安かった。店主は若くてカッコよかった。
でも、多分もう行かない。
いくら自分が優遇されたとて、人は、誰かを傷つけている言葉にこんなにも傷つくんだなあと思いながら帰ってきた。
ああそうか、私は昨日、傷ついていたんだ。いま、書いていて気づいた。
悲しかったの。
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私の違和感は、これらの文が、どれも対象に対して批判する意図はなく、むしろ対象のことを称え、素晴らしいと書こうとしているところにある。


