
「無料」が生み出す悲しき循環【今日もコレカラ/第663回】
先日、マンガ編集者の方からホラーな話を聞いた。
日本のコミック市場の売上は2024年に7000億円を超えた。この数字を牽引しているのは、電子コミックで、専有率は7割を超える。
縦スクロールコミック(WEBTOON)が市場を底上げしているし、電子ストアでの積極的な広告展開も功を奏しているそうだ。
斜陽産業と言われる出版コンテンツ業界で、だからマンガだけは堅調に推移していると思っていたのだけれど。
実はこの電子コミック事業の収益が、いま、軒並み頭打ち、いや頭打ちなら良いけれど、右肩下がり始めているのだと教えてもらって背筋が冷えた。
原因のひとつは「無料キャンペーン」だという。
私は電子コミックアプリを3つダウンロードしている。アプリ経由の購入だけで、これまでに50万円は課金している。ヘビーユーザーだと思う。
たしかに最近、無料で読める枠が多いなと思っていた。私はアプリにサブスク課金をしているのだけれど、そのサブスク利用分(たとえば3000円分)がなくならないうちに、次の月がやってくることが増えた。
つまり、サブスク分では間に合わなくて、追加でポイントを買うことが減ったと感じるのだ。
無料で読める作品には2つのパターンがある。
ある作品最初の3、4話が無料になっているというパターン。この試し読みの結果、続きを購入することが多かったのだが、その無料提供分が最近は10話とか、15話とかになっているので、結果「お金を出して」購入する話数が減った 。
もうひとつは、毎日数話分無料というチケットが配布されるというパターンだ。これを使うと一気読みはできないけれど、毎日コツコツ無料分だけで完読することも可能になる。
この施策によって最近、課金せずに無料分だけを読む読者が非常に増え、かといって無料キャンペーンをやめることもできず、電子コミックアプリ業界全体がゆっくりと沈みかけているという話だった。
コンテンツの受け手としては、無料が増えるのは嬉しい話だろう。
でも、コンテンツの作り手が細れば、いずれ受け手にもその影響は波及する。いや、その頃には受け手はまた別の無料のコンテンツに引越ししているのか。
Webにあとから課金をするのは難しい。これは、次々と消えていったオールドWebメディア(と呼んでいいかわからないけれど)から私たちが学んだことだ。
だから、ちゃんとコンテンツには課金せねばならぬ。その結果、業界の人たちが見つけた最も強いコンテンツ、マンガコンテンツの「金脈」が、こんなふうにやはり衰退しようとしていくのか。
ここからもう一度、右肩上がりになる気運はあるのだろうか。
今日もせっせと課金しつつ、今後の動向にも注目したい。
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