
終わらない記憶の冒険【さとゆみの今日もコレカラ/第 313 回】
昨日、ライター仲間のしのぶさんと会った。
話題は自然と、先日お亡くなりになったアーティスト田名網敬一先生の話になった。しのぶさんの大学時代の恩師だった田名網先生にインタビューをさせていただいたのが、GW明けのこと。国立新美術館で大回顧展が始まる直前だった。
しのぶさんと一緒に行った回顧展のオープニングイベントに、先生の姿はなかった。そのことを不思議に感じたけれど、いろんな方とのご挨拶でお忙しいのかなと思っていた。その数日後、まさにCORECOLORで田名網先生の記事をアップした日、先生がお亡くなりになっていたことを私たちはのちの報道で知る。
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私は、自分の人生はBK(Before KOREEDA)とAK(After KOREEDA)に分かれると思っている。学生時代に出会った是枝裕和さんに強い影響を受け、見るほう・読むほうから作るほうにいきたいと思ったのが、人生のターニングポイントだった。
田名網先生のお話を聞けたのはたった2時間だったけれど、是枝さんと出会ったときに感じた衝撃以来のビッグバンだった。生まれて初めて「長く生きたい」と思ったのだ。
長く生きたい。深く生きたい。ふつふつと腹の底から欲が湧いてきた。
聞けた話は金言だらけだった。上手いと面白いは違う。プロになれる人・なれない人。感性の磨き方。日常の旅という考え方。そして、なぜ死をおそれないのか……。
私たちは、どの話が一番印象に残ったか、何の話を中心に構成するか、夢中で話をした。その話し合いの過程で、自分たちがこれまで考えてきた「つくる」「描く」「書く」についても、いろんな会話をした。昨日は、しのぶさんが学生時代に先生に何を学んだかについても聞いた。先生が話していたことの意味を本当に理解できるようになったのは、つい最近だということも。
しのぶさんに連れられて田名網先生に出会い、私もその教えのお裾分けをもらった。人生最後の日に思い出すであろう言葉を、取材中に聞いた。その言葉を一緒に反芻し、あれはこういう意味であったか、こんな意味もあったのではないか。そう語り合える仲間がいることも嬉しい。
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今日(9/8)の夜、NHKの「日曜美術館」で田名網先生の創作活動が再放送される。
私は昨日NHK+で見たのだけれど、それがいつの取材だったかの日付を見て、ああまさにこの映像とこの映像の間に先生のお話を聞かせていただいていたのか、などと思った。
番組はもともと、回顧展のオープニングまで追いかけ放送される予定だったのだろうか。病床からもレイアウトの指示を出し絵を修正していたという先生の、亡くなる直前まで現役だった姿を想像して、いろんな感情が渦巻いた。
大切なことは声に出して自分の脳に話しかけると先生は言っていた。「死ぬのは怖くない」。インタビューでおっしゃった先生のその言葉も、先生の脳は聞いていただろう。
「日曜美術館 〜終わらない記憶の冒険 田名網敬一」の再放送は今夜20時から。
回顧展を見る前に見るのもいいと思うし、回顧展を見た後に見るのはまた違った面白さがあると思う。CORECOLORの記事もぜひ読んでもらえたら嬉しいです。
サムネイルはオープニングイベントでいただいた扇子。
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【この記事をおすすめ】
僕はね、長い年月絵を描き続けているけれど、ぜんぜん上手じゃないの。上手な人は僕よりもたくさんいる。だから、技術が求められるような絵は描かない。


