
「よかれと思って」のすれ違い【さとゆみの今日もコレカラ/第 332 回】
昨日、新規プロジェクトの相談にのってもらうため、知り合いのディレクターにミーティングをしてもらった。プロジェクトの話とは別に近況報告をしあっていたとき、彼にひとつ質問をされ、ひとつ疑問を投げかけられた。この彼の疑問が、あらゆる仕事に通じることだなあと感じたのでメモ。
まず、彼からの質問は、最近ライターに仕事を頼むことが多いのだけれど、なかなか思うような仕上がりにならない。どんなことに気をつけて発注すればいいだろうというものだった。それについてはおそらくライター側だけではなく、発注者側の依頼のしかたで解決できるケースも多い。だから原稿の方向性を共有をする際の具体的なアドバイスをさせてもらった。面白かったのは、そのあとの会話だ。
彼が、「ライターさんと打ち合わせをすると、みんな二言目には『納期と文字数を教えてください』と言うんだよね。仕事の内容や、こちらの想いを話す前に『まずは条件面を』と言われると、なんだかなーと思ってしまう」と、言ったのだ。
ほおお、なるほど。そうとらえるのか! と思った。
「納期と文字数を最初に聞く」ライターさんの心理は、私はとてもよくわかる。せっかく時間をかけて仕事内容やこの原稿にかける想いなどを聞いても、物理的なスケジュールが合わなければ仕事を引き受けられない。相手の時間を無駄にしないためにも、まずは納期と文字数を聞くのはプロとして当然だと私は思う。仕事に対する愛情がないのではなく、むしろ、良かれと思ってやっていることである。
そう伝えると彼は「ああ、なるほど。そういうことか。だとしたら、今みたいに伝えてくれればいいのになあ」と言った。
これまた、なるほどである。「あなたの大切な時間を無駄にしたくはない。ゆえに、無粋ではあるが、最初に納期と文字数を聞きたい」とひとこと添えれば、よかれと思ってやっていることがすれ違うこともないのだろう。
この話はたまたまライターとクライアントの話であるけれど、こういったすれ違いは、別の仕事でも、プライベートでもよくあるように思う。
「何のために」、いまこの話をしているのか。
その理由を添えるだけで、すれ違いはだいぶ減るのかもしれないなあって思ったよ。
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