
わがままな身支度【さとゆみの今日もコレカラ/第381回】
夜。
早めのお夕飯を食べ、試験勉強をしている息子に、ごめん、ちょっとネックレスつけてもらえるかな、と頼んだ。
「うわ、こんな、ひとりでつけられないようなもの、よく身につけるね」と言いながらも、金具のかたいネックレスと格闘してくれる。
そうやって、四苦八苦しながらつけてくれたネックレスには、種類の違う石が九つ、ついている。彼はそれらの石が全部表を向くように一つずつチェックしてくれたのだけれど、実際につけてみたら、今日着ていこうと思っていたワンピースの襟の下に隠れてしまって、ちょっとイマイチになっている。
せっかくやってくれたのにごめんだけれど、やっぱり別のネックレスにしてもいい? と聞くと、彼は嫌な顔もせずに「じゃあ、髪あげて」と言う。
再びかたい金具と格闘してネックレスを外し、続いて左利きには扱いにくいであろうネックレスを「うわ、これもめんどう」と言いながら、つけ直してくれた。
今日の会食は楽しいやつ? と聞かれたので、ママはもう、楽しい会食以外は参加しないようにしてる、と答える。ふーん。じゃあ、いってら。そう言う彼はもう、地理の教科書に目を落としている。
どれだけ男女平等と言われても、見た目で人を判断するなと言われても、自立せよと言われても。
人の手を借りないと着られない服を着たり、アクセサリーを身に纏ったりするのは、やめられない。息子が大人になっても、そうやってめんどうな身支度する女の子のお手伝いをしてあげてほしいな、と思う。
こういうのって、時代に逆行してるのかな。
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読んでいた学生時代にタイムスリップしたようで嬉しかった。印象的なシーンが細切れのピースで思い出されるのも、この物語の魅力だなと私は思う。


