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地球2周半分の愛してる【さとゆみの今日もコレカラ/第393回】

「ねえ、知ってた? 一人の人間の血管の長さって、全部つないだら地球2週半分もあるんだって」

ある日、息子がちょっと興奮ぎみに私にそう言った。

「え、知らなかった」

と返すと、彼は服を着替えながら、

「やばいよね? 地球2周半だよ」

と独り言ともつかない言葉を発している。

「それだけ細い血管がたくさんあるってことなのかな」

と私が言うと

「多分、そうなるよね」

と、頷いている。

ランニングを始めたとき、いろんな人に「最初はゆっくり走るといいよ。そのうちに、身体中の毛細血管の数が少しずつ増えて、ぐんと走りやすくなるから」と、言われた。

そうか、血管は使うと増えるのかと思った。

それ以来、スロージョグをするたびに、身体のすみずみに血が通っていくイメージが脳内に広がる。道路が開通しトラフィックが増え人通りが多くなる、そんな都市開発の早回しビデオようなイメージを持っていた。

そうか。あれ、地球2周半分もあるのか。

言葉もそんなふうに身体じゅうをめぐっていくのかなと想像してみる。

多分、理科的には絶対違うのだろうけれど、耳で聞いた言葉が、血流にのって脳に届いて、心臓に届いて、そこから全身に運ばれて、手の指先まで、足の指先まで、運ばれるのだと想像してみる。

誰かからもらった「愛してる」の言葉が、地球2周半分ある毛細血管のすみずみにまで行き渡って、わたしの身体を元気にするのだとイメージしてみる。

ああ、だから嬉しい言葉を聞くと、指先があたたかくなるのか、と思ったりする。そして、優しい言葉を使いたいなと思ったりする。

わたしの言葉も、彼の血液と一緒に、身体の中を巡るのだ。そして彼の身体を、指先をあたためるのだ。

きゅん。

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けれど、今、私は「自分らしい言葉」がどうしても欲しい。

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