
さよなら。私の一部で私の全部【さとゆみの今日もコレカラ/第501回】
朝日新聞のtelling,さんが、この3月末で更新を終える。7年前の創刊時から、178本の読書コラム+インタビューを書かせてもらった。
telling,で書くことになったのは、徳島県神山のフレンチレストラン、オニヴァでたまたま仲良くなった人に、ライターだと名乗ったら「来月Webメディアが立ち上がるので、そこで何か書きませんか?」と言われたのがきっかけだった。
「18歳年上の50歳の夫と離婚して、7歳年下の大学院生と再婚した」話が面白かったらしく「コイツ、多分、書けると思った」と、後に聞いた。
後日、創刊準備中の編集部に遊びにいった。
「髪の毛についての連載をしてくれませんか?」と聞かれたが、髪については『女の運命は髪で変わる』で書き切ったと思っていたので、お断りした。こちらからは「編集者軸で本を読む」という企画を提案したら、「じゃあ、それを月イチでやってもらいつつ、いまブログに書いているような書評を月3で書いてもらえませんか」と言われた。
かくて、telling,の読書コラムは、インタビュー原稿を書かせてもらうバーターとしてスタートした(そして、インタビューのほうはなかなかアクセスがなく打ち切りになり、コラムだけが残った)。
月に1つのお題がふってくる。「今月は不倫で」とか「今月はシスターフッドで」とか「自己肯定感で」とか。それで週に1回、月に4冊分も感想文を書いていたのだから、当時は体力があった。
昨日、telling,に関わった執筆陣やカメラマンさん、イラストレーターさんなどで、お別れ会があった。
それぞれが「心に残っている仕事」を発表し、私は、人生のベスト1冊だと思っている『Humankind 希望の歴史』について書いたこと、その文章を読んでくださった書籍の編集者さんから連絡がきて、著者さんの来日時のインタビューを任せてもらえたこと、英語がわからないのを逆手にブロークンな日本語でエンタメ風にまとめ、それが非常に多くの人に読んでもらえたことを話した。
この対談は、
さとゆみ:『Humankind 希望の歴史』を読んだことは、私の人生でも最も重要な体験だったよ! あなたは、超最高だよ!
ブレグマン氏:わお! それは嬉しいな。
(いきなり親しげですが、さとゆみは英語がザルなので、もちろん通訳さんを介しています。このテンションは私が受け取ったニュアンスです)
人は優しい生き物? ずるい生き物? 『Humankind 希望の歴史』著者・ルトガー・ブレグマン氏とお話してきた!【前編】
で、始まる。
こんなはちゃめちゃな原稿を許してくれた、telling,も懐が広いし、「一文字も修正ありません」と面白がってくださった文藝春秋さんにも感謝している。
私の人生で、もっとも思い出深い仕事のひとつだった。
週に1冊、読んだ本について考えたことを書く。
それは、ほとんど、人生の記録だ。
この連載には、私の人生の一部が、そして全部がつまっていたなと思う。
山口周さんの『ビジネスの未来』を読んだあとに変わった価値観。
平野圭一郎さんの『私とは何か「個人」から「分人」へ』を21世紀最大の発明だと思ったこと。
恋愛がうまくいかない理由を見切った書籍『異性の心を上手に透視する方法』で過去の痛い恋愛を振り返ったこと。
ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだあとに決めた覚悟。
自分の文章を読み返したら、とまらない。めっちゃ面白い。
今の私だったら多分、同じことを半分の分量で書けると思う。でも、書きたいことを全部書かないと気が済まなかった昔の私の文章、ウザいくらいにみっちみちだし、心配になるくらいあけすけでキレッキレだなあと思う。
7年間、ありがとうございました。
最後に「7年の連載を締めくくる集大成を」とオファーいただいている原稿をこの週末に書いて、telling,を卒業します。
読書コラムは大好きな仕事なので、またどこかの媒体さんで、連載させていただけないかなあなどと思いながら。
「今日もコレカラ」は、毎朝7時に更新して、24時間で消える文章です。今日もコレカラ、良い一日を。
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さとゆみを神山町でスカウトしてくださった、telling,初代担当編集者の伊藤あかりさん。
打ち切りになった「編集者軸で本を読む」は、CORECOLORでリベンジさせてもらい、人気企画になっています。


