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私の音とあなたの音【今日もコレカラ/第743回】

友人に、数多くのヒット曲を手がけた作曲家さんがいる。
彼女は、人の存在を音で認識するらしく、「ゆみさんは、ファゴットの『ファ』の音の人」とおっしゃる。私と彼女とよく一緒に会う友人は「ラ」の人と言われていた。彼女自身は、「ド」なんだという。
だっから私たち3人で飲む会は「ドファラの会」と名付けられていた。ドファラは綺麗な和音になるから、心地よいのだそう。ここに「ソ」の人や「レ」の人が入ってくると不協和音になる。誰かを誘う時も音の相性がいい人を選ぶと言っていた。

以前彼女に、日本のトップ美容師さんたち15人ほどが集まるクローズドな勉強会で講師をしてもらったことがある。その時「こんなに人数が多いのに、誰一人音がにごっている人がいなくて感動した」と言っていた。そして「シーフラットがめちゃくちゃ多かった!」と驚いていた。
シーフラットは、半音ずらせばシーになるし、半音さげればラになる。
きっと一流の美容師さんは、お客さまに合わせて自分の音をそのまま鳴らすか、半音上か下かに少しずらして、その場でいい和音が響くように自分を調節しているんじゃないかと話していた。

なるほど、である。

昨夜『ワインビジネス』の著者、佐野敏高さんのトークイベントが青山ブックセンターさんであり、司会のお手伝いをさせていただいた。
佐野さんはよく、食事やワインを音楽にたとえる。自分は指揮者のようなものだといい、交響曲を作るようにワインを提供するのだという。毎日ワインセラーをあけて、まずワインたちに「おはよう」と声をかける。ワインが「今日は僕がいく!」とスタメン入りを主張するのだそうだ。

食文化に興味がありそうな方々にお声かけしての昨夜のイベント。
いろんな人が佐野さんに質問を投げかけてくださり、会場全体にとても親密であたたかな交響曲が流れていたようだった。
みんなが佐野さんの声に耳をすませて、ワインの声に耳をすませて、その日一度きりの音楽を楽しんでくださっているような、そんな感じを受け取っていました。

きてくださったみなさま、ありがとうございました。

※「今日もコレカラ」は朝7時に更新です。バックナンバーが読めるようになりました。

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