五輪でメダル獲得する前と後【運ちゃんのウィキペディアのおかげです】
長年ウィキペディアを眺め、寄稿し続けた運ちゃんが、ウィキペディア日本版のページビュー(以下PV)を使って分析します。今回の注目トピックは「五輪メダリスト」です。
第33回夏季五輪はパリで開催。この地で五輪が行われるのは100年ぶり3回目です。史上最大規模の競技場を飛び出し街中での、斬新で派手で壮観な開会式。会場で応援がOKという通常開催となりワクワクしています。そしてもうひとつ私がワクワクしていることがあります。それは大会期間中のウィキペディアは次々とページ更新され、新たなメダリストのページのPVが爆増するだろうということです。
東京五輪メダリストの114人のうち、パリ五輪に出場するのは38人
オリンピックでメダルを獲得するか否かは、きっとその後の選手の人生を大きく変化させることでしょう。2021年の東京五輪でメダルを獲得した日本人選手は114人いました。そしてそのうち今回のパリ五輪にも出場するのは38人。この38人の選手が2020東京五輪でメダルを獲得する前と後でいったいどれだけウィキペディアのPVに変化があったのかを調査しました。
と、その前に、3年前のメダリスト114人のうち、今回のパリ五輪に出場するのが38人というのは、少ないと思ったでしょうか。
今回のパリ五輪では野球とソフトボール、空手が不採用競技になっています。前回の2020東京五輪で、この3競技でメダルを獲得した人数が、114人中42人いました。
ちなみにパリ大会不採用競技となった空手メダリスト3人、金の喜友名諒(きゆな りょう:34歳)さん、銀の清水希容(しみず きよう:30歳)さん、銅の荒賀龍太郎(あらが りゅうたろう:33歳)さんは現役を引退しました。
パリ大会で実施される競技で既に引退した東京五輪メダリストは10人です。残りの62人のうち38人がパリ五輪に参加しますが、やはり勝負の世界。残りの24人は前回大会のメダリストにも関わらずパリ五輪に出場できなかったということになります。
オリンピック期間、PVはどれくらい増えるのか?
パリ五輪に出場している2020東京五輪の日本人メダリスト「大会期間の1日平均PVランキング」です。
まずは前半の1位から19位をみていきます(*1)。大会期間の17日間、毎日平均6万6千PVだった柔道のウルフ・アロンさんが1位で、金メダルを獲得した2021年7月29日(木)の1日のPVは大会期間の中で最も多い84.8万PVと全体の75%をこの日に記録しています。柔道団体で銀メダルを獲得した7月31日(土)もオリンピアンではその日最も多い12.2万PVでした。メダル獲得の前と後だとPVは3倍以上増えています。
*1…東京五輪大会期間前は2015年7月1日(水)〜2021年7月22日(木)の2,214日間。大会期間は2021年7月23日(金)~8月8日(日)の17日間。大会後は2021年8月9日(月)〜2024年6月30日(日)の1,057日間。1日平均PVが東京五輪後に増えた人は赤色にしています。
2020東京五輪の大会前と後で、PVが大きく増えたのは東京五輪で追加競技として新たにエントリーされた3つの競技、サーフィンの五十嵐カノア(5位:いがらし カノア)さん、スポーツクライミングの野中生萌(20位:のなか みほう)さん、そしてPVが10倍以上増えたスケートボードの堀米雄斗(6位:ほりごめ ゆうと)さんです。
スポーツクライミングの野中さんが銀メダルが確定した時に金メダルを獲得したスロベニアのヤンヤ・ガンブレット(25歳)さん、銅メダルだった野口啓代 (のぐち あきよ:35歳)と抱き合って喜ぶ姿は今でも忘れられない場面です。
注目した3つの競技は、バスケットボール、卓球、そして自転車です。バスケットボール4人は皆、大きくPVが増えています。東京五輪後に最もPVが増えたのは馬瓜エブリン(12位:まうり エブリン)さんで、2023年の年間PVは50.1万PVでした。4人の中で東京五輪大会期間中に最も多いPVだったのはオリンピック1試合個人アシスト新記録の18アシストを記録した身長162cmの町田瑠唯(9位:まちだ るい)さんで、8月6日(金)に15.1万PVを集めました。
卓球では前回大会に金メダルを獲得した混合ペアの水谷隼(みずたに じゅん:35歳)さんと伊藤美誠(いとう みま:23歳)さんは共にパリ五輪には参加しません。しかし前回メダリストの張本智和(6位:はりもと ともかず)さんは妹の張本美和(はりもと みわ:16歳)さんと兄妹でパリ五輪に参加。まだ21歳ですが試合を見ていてもエースの風格・安心感があります。平野美宇(11位:ひらの みう)さんは団体1回戦が行なわれた2021年8月1日(日)は6.5万PVを集め、Yahoo!リアルタイム検索でもトレンド入り。東京五輪では個人戦には出られなかった悔しさをバネに掴み取ったパリ五輪出場ですから心から応援したいです。
このランキングは大会期間中の17日間の合計PVを17で割った1日平均で、各日の実際のPVは大きく異なります。例えば自転車の梶原悠未(19位:かじはら ゆうみ)さんは大会最終日の2021年8月8日に銀メダルを獲得し1日で7.1万PV超を達成しました。大会17日間の合計PVは76,983ですから実に全PVの93%以上をたった1日で達成するほどだったわけです。
38人のメダリストで東京五輪開催前にウィキペディアがなかった6人
続いて後半の19位から38位です。
6人のメダリストが五輪開催前にはウィキペディアのページがなかったため表には「未作成」と記載しています。最も古く作られたのは卓球の平野美宇さんで、7歳の時(2007年7月30日)にページが作られていました。一番最後にウィキペディアのページが作られたのは、スケートボードの四十住さくらさん(28位:よそずみ さくら)さんと開心那(36位:ひらき ここな)さんがメダルを獲得した日(2021年8月4日)でした。
ウィキペディアのページ作成には、ウィキペディアという百科事典に収められるのにふさわしいか否かを判定する基準、特筆性という視点があります。人物の場合は学者・政治家・音楽家など様々な分野別に掲載基準があり、特筆すべき実績があるかどうかを判断しています。アスリートの場合は、オリンピック・世界選手権・ワールドカップなどの最高レベルの大会に選出された選手であればその基準をクリアしています。
当然、メダリストであれば全員ウィキペディアへの特質性があると言えます。しかし、オリンピックに出場し特筆性を満たしていてもページが作成されない方も多数います。一方、スポーツ選手に限らず、特質性がないと判断されたページはウィキペディアから削除されます。
114人のメダリストのウィキペディアページがいつ作成されたのかも今回調査しました。東京五輪開会式前にページがあったのは91人、23人分は開会式後につくられました。17日間の大会期間中に15人分のメダリストのページがつくられ、ソフトボールの8人の選手は五輪後に作成されました。メダルを獲得したことでウィキペディアに選手のページができるという点でもメダルの影響は大きいと言えるでしょう。
ちなみに、「2020年東京オリンピック」というウィキペディアページは開催月月間PVは43.7万PVで、「2016年リオデジャネイロオリンピック」というウィキペディアページは43.1万PVでした。きっと今月は「2024年パリオリンピック」の閲覧が増加するはずです。ウィキペディアには更に細かく「2024年パリオリンピックの日本選手団」や主要な種目ごとのページなど細分化され日々更新されていくでしょう。気になる選手がいたら是非ウィキペディアを訪れてください。
今回はメダリストに焦点を当てました。2016リオ五輪のメダリストで東京五輪ではメダルを逃した選手も参加している2024年パリ五輪。より楽しむために、2020東京五輪のメダリストを知っていると、更に応援に熱が入るかもしれません。オリンピックをみていると日本選手はもちろん、いつの間にか世界中の参加する各国の選手を応援しています。みんなウィキペディアのおかげです。ありがとうございました!
ウィキペディアの「1924年パリオリンピックの日本選手団」というページを読むと、日本人選手は19人が出場し、19競技126種目で、44か国が参加した大会だと書かれています。レスリングで内藤克俊さんが銅メダルを唯一獲得した大会だったようです。それから100年が経ち200以上の国と地域が参加する今回のパリ五輪は、32競技329種目となりました。今回参加する日本人選手は409人だそうです。時代は明らかに進んでいますね。
今大会初の金メダルをとった角田夏実(つのだ なつみ:31歳)さんのウィキペディアページには即メダリストと記載されました。ウィキペディアには最新はもちろん、過去のオリンピック情報も満載です。
2024パリ五輪の開会式では、故ジョン・レノン(40歳没/1980年)さんとオノ・ヨーコ(91歳)さんの代表曲「イマジン」が平和の唄として2020東京五輪同様に歌われました。今後も「イマジン」は毎回開会式で歌い継がれるそうです。フランスと日本は時差が7時間あるため大会期間中は寝不足になりそうですが、ウィキペディアと共に2024パリ五輪を楽しみたいと思っています。また次回!
文/運ちゃん
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