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龍之介のこと【さとゆみの今日もコレカラ/第 68 回】

7年連れ添った龍之介という美男のミニチュアダックスがいた。

一度めの結婚のとき、夫がラブラドールを飼い、私が龍之介を飼い、2匹は仲良く兄弟として育ったのだけれど、私たちが離婚することになって、2匹はそれぞれの家で新生活をスタートさせた。

二度めの結婚で、子どもが生まれたとき、私の体質が変わり、強度の犬アレルギーになった。ひどいときは喘息発作がおさまらず、病院に駆け込んで点滴してもらうこともしばしばだった。

病院の先生に「これ以上、犬を飼い続けたら、死ぬよ」と言われ、そして息子にも犬アレルギーがあることがわかり、もうどうしようもなくなってしまったことがある。

私はいまでこそ、涙もろいし、人前でもよく泣くけれど、この頃は、「サッチャーか私か」と友人たちに言われるくらい、鉄の女だった。と思う。

人に甘えるのがすごく苦手で、困ったことや悩み事は誰にも話せなかった。だから、辛いことがあったときは、ぎゅっと龍之介を抱きしめて布団に入っ て、龍之介がぺろぺろ顔をなめてくれて、龍之介だけが私が泣いているのを知ってた。

てんかん持ちの子で、検査もたくさんした。痙攣を起こしているときは本当に苦しそうで、何もしてあげられないのが辛くて仕方なかった。

この子を手離すなんて考えられないし、病気持ちのこの子を預けられる人もいないと思っていたのだけれど、そうも言ってられないくらい私の体調が悪くなってしまい、喘息発作で救急車で運ばれた日の数日後、わらにもすがる思いで、前夫に連絡した。

彼は、うちで引き取るよと言ってくれた。その後、龍之介は、再びお兄ちゃん(ラブラドール)と前夫と暮らし、相変わらず病気でなんども病院に通い、そして亡くなった。

あれは多分、龍之介が亡くなる1年くらい前。

入院したと聞いて、尾張一宮までお見舞いにいった。

点滴につながれた龍之介は、私が声をかけるとびくっと震えて、焦点があっているかあっていないかわからない目で、じっとこっちを見たような気がし  た。

手術の後、はじめて食べるというペットフードに食らいついていて、でも目も鼻も悪いからこぼれてしまうペットフードを、拾っては口の中に入れてあげた。

包帯だらけの腕を握ったらあたたかかった。そのときは、まだ、生きていると、思った。

あのとき、龍之介、何を考えていたのかなあ。

私が彼を手離したとき、彼は何を考えていたのかなあ。

動物には、使命があると聞いたことがある。そばにいてくれた時、龍之介は私が甘えることができる唯一の存在だった。龍之介がいなくなった後、私は人に甘えられるようになった。

寒い冬の朝は布団の中でときどき彼を思い出す。

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【この記事をおすすめ】

毎朝こんなにドタバタしながらも、家族は精一杯生きていると感じる。我が家の変わらない日常に、もし新しい家族が増えたらどうだろう。

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