
強力なパスワード【さとゆみの今日もコレカラ/第 79 回】
強力なパスワードって、あるじゃないですか。
あれを見るたびにいつも思うのだけれど、あの強力なパスワードのときにしか隣り合わせにならないアルファベットってあるよね。
例えば「X」と「x」とか。普通の文章を書いていて、その2つが並ぶことはまずない。そういうとき、大文字 X さんと小文字 x さんはどんな会話をしているのかなあというのが、気になる。
「ああ、あなたが噂の!」
「私も前からお会いしてみたいと思っていたんですよ」
「思ったより大きいんですねえ」
「あなたは、想像より細身でした」
「ちょっと亡くなった父を思い出します」
とか、そんなふうに盛り上がるのだろうか。
そして、ひとしきり「X」という自分たちの存在感とかアイデンティティとかについて語り合って、ああやっぱり同士はわかりあえるなあなんて思っているところで、パスワードは定期的に更新してくださいとかアラートが出ちゃうか ら、「ああ、せっかくこんなに仲良くなったのにお別れですね」なんて話をして、「いつかまた会えるといいですね」「そうですね。私たちが書籍の文章の中で隣り合わせになることはないでしょうから、また誰かの強力なパスワードのときでしょうね」なんて多分話してる。
強力なパスワードで生成された、ホテルやカフェのアルファベットを見るたびに、今日も新しい出会いが生まれているのかなあ。P と f が隣り合わせかあ。わりと繊細さん同士っぽいなとか思っちゃうのだけど、オチはない。
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【この記事をおすすめ】
小沢さんは言う。表現をするという行為を選択した時点で、自分の思いや考えはどれかの言葉にあてはめなければならない。


