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「きれいごと」を本気でやると、ファンができる。『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』

私は、カイロプラクティック(整体)のサロンを経営している。20歳で師匠から独立した。ホームページもなく、来られるお客様はリピーターかご紹介の方だ。今でこそ、多くのお客さまが来てくださっているが、独立直後は、予約も入らず苦しい時期もあった。

最初、この『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』が発売されることを、著者の和田裕美さんのSNSで知った。タイトルを見て、どんな内容なんだろうと気になった。
しかし、私はこれまで「数字を上げるためには、数字を追うのが大事でしょ!」と思ってやってきた。とくに、20代前半の頃は売り上げから目を逸らすことは、来月家賃が払えなくなることとイコールだった。タイトルを見て「ファンに愛されること」と「数字を追う」ことは、相反するように感じた。だから、今までの自分を否定することになるのでは、と怖くて手に取れなかったのだ。

けれども、本の話題は、どんどん耳に入ってくる。仕事の打ち合わせでも話題が出るし、尊敬する仕事の先輩からも直接LINEで勧められた。とうとう、重かった腰を持ち上げて手に取った。本の冒頭に思わず目を瞑りたくなるような一言があった。

”ちょっとだけ「目先の利益」を求めることをやめてみませんか?”

グサ・・・グサグサグサ・・・
私、目先の利益を追い求め続けて生きてきました。すみません。心を見透かされたようだった。

実は、この本を手に取る2週間ほど前。私は、友人と3人でチームを作り、Instagramの勉強会を始めたところだった。始めた理由は、それぞれのInstagramで自分のファンを作り、それが、将来のお客さまに繋がったらいいな、と思ったからだ。フォロワーは沢山いなくてもいい。自分に「会いたい!」と思って、施術を受けてくれる人が10人見つかったらすごいよね!というのが
ことの始まりだった。

なのに。なのに、だ。
投稿してみては、「いいねが伸びない!フォロワーが増えない!」と嘆いていた。
まさに、目先の数字を求めて一喜一憂していたのだ。

『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』の帯には、こう書いてある。

”「売り込む」「バズる」ではなく、ファンを作る!”

この帯を見て、ハッとした。そうだ!自分が欲しいのはファンなのだ。一つの投稿でバズりたいわけではないのだ。なにか投稿するたびに自分のページを訪れ、リアクションしてくれるファンを作りたい。そう思ったときに、投稿する内容がより「自分らしさ」を伝える内容に変化したのだった。

本の中で軸になっているのは、今回の本でアドバイザーを務めている、さとなおこと佐藤尚之さんが提唱している「ファンベース」という考え方だ。

「ファンベース」というのは、ファンの方たちを何よりも大切にしてより幸せになってもらう関係を築きながら、中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方である。ここでいうファンは、企業やブランド、商品が大切にしている価値を支持してくれる方を意味する。

『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』では、営業の世界で活躍してきた和田さんが、「ファンベース」の考え方をもとに、どうするとお客さまが自分のファンになるのか。そして、愛され続けるのか。それに必要なことや、考え方を、ロールプレイングもありながら様々な事例を紹介してくれている。

先日、この本の出版記念オンラインセミナーに参加した。そのセミナーで、和田裕美さんと、さとなおさんが話されていた話がとても印象的だった。

〜人間社会は、絶えず変化し続けている。過去を振り返ると、農業が発達し村社会ができた「農業時代」から産業革命を経て「工業時代」へと移った。インターネットができ、人との繋がりが可視化できるようになった。現代は、それがまるでネットのようだということから「網業(もうぎょう)時代」と呼ばれている。〜

人との繋がりが大事なこの時代だからこそ、相手を大事にした言葉を使うのが重要だという。マインドが変わると、使う言葉も、その音色も変わっていくそうだ。

“「売りたい」という感情よりも「幸せになって欲しい」という感情を上にする。”

私は今まで、施術を受けにきてくれた方が「楽になってほしい、痛みが取れてほしい」と思い、施術をしてきた。この本で見つけた課題は、もうひとつ俯瞰値を高く「相手に幸せになってほしい」という気持ちを持つということだ。

その気持ちで接した結果、自分ではなく、別の治療院をオススメすることになる場合もあると思う。すると、そのお客さまは、もう、うちには来なくなり売上の視点でみるとマイナスだ。しかし、本を読んだ今、それが相手にとってベストで一番幸せな選択ならば、それは良いことだなと、素直に思える。これまでは頭ではわかっていても、目先の予約が欲しくてできなかったこともあるから、「相手のために」を自分自身に言い聞かせたい。

多少高くても「あなたの施術が受けたい」そう言われる自分になりたい。
そのためには、「きれいごと」を本気でやって「いい人になる」。

痛みをとることは当たり前で、それにプラスしてできることをもっと考えて実践だ。例えば、前回来られた時の話を覚えておく。施術後の様子をお伺いする。お客さま目線のキャンペーンをする。考えてみると、できることはまだまだ沢山ある。これが、一見、遠回りのようで、近道なのだ。

数年後、この本がきっかけで、仕事のやり方を変えて大きな結果が出ました!と言いたいと思う。

ファンに愛され売れ続ける秘訣

文/本間 友子

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