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「さんたくろーす」と書いて「親」になる。「ひろせすず」は「嫁」になる。文字クリエイター筆ぽよさん

ある言葉をひらがなで書き進めていくとまったく違う別の漢字が浮かび上がってくる。「さんたくろーす」とひらがなで書いていたはずなのに、完成した文字は漢字の「親」。この動画はトータルで1000万再生以上されているそうだ。フレーズと漢字の関連性に気づいたときにはなるほど! とスッキリするのだけれども、どうやって創作しているのか皆目見当もつかず何度も見たくなる。不思議でクセになる文字のこの動画を投稿しているのが、文字クリエイターの筆ぽよさんだ。SNSの総フォロワー数は約17万人。投稿する多くの動画が話題になっているが、取材を受けるのはCORECOLORが初めてだと言う。手で文字を書くことがめっきり減った現代において、文字を書く動画で人気を集める筆ぽよさんとは何者なのか。その発想の源はどこにあるのか、話を伺いました。
聞き手/佐藤 友美(さとゆみ)構成/北原 舞

創作文字は頭の中とiPadだけでできる

──ひらがなを組み合わせて漢字を創作するのは、どこからアイディアを得たのでしょう?

筆ぽよ:創作文字を書かれている方の動画を見かけたのがきっかけです。それを見て、僕もできそうだなと思ってすぐにオリジナルの創作文字を作って投稿をしてみました。ただ字を書いて投稿するよりも創作文字の方が見ている側も面白いんじゃないかと思って。

@fudepoyo

1000万回再生された動画リメイクしてみた!🎅 なんて書いてるかわかった人はコメント欄へ‼️

♬ All I Want for Christmas Is You – Mariah Carey

筆ぽよ:もともと新しいことを発想するのが好きなのもあり、頭が柔らかいのかな? 創作文字を作る過程のイメージは最初からなんとなくできていてスムーズに作れました。投稿した中で反響が大きかったものを参考に自分なりに工夫して投稿を続けていたら、コメントで〇〇の字を書いてくださいと創作文字のリクエストが来るようになりました。今、発信している投稿も、主にフォロワーさんからのリクエストをもとに投稿を作っています。

──リクエストの中で何割くらいが創作文字にできるのですか?

筆ぽよ:だいたい2割くらいですね。できない文字がないわけではないのですが、文字数や画数が合えばある程度創作文字は作れます。ありがたいことにフォロワーさんから様々なリクエストをいただくので「ひろせすず」で「嫁」という文字を創作したこともあります。

@fudepoyo

@tkd_mega0501 への返信 現実じゃ無理なリクエストどしどし募集しています🤗

♬ そよ風 – SHISE

──筆ぽよさんの動画を見てもできそう! とはとても思えませんでした(笑)。オリジナルで創作文字を作る際にはどうやって考えているのですか 文字がどのように創り出されているのか筆ぽよさんの頭の中が気になります。

筆ぽよ:僕が文字を創作するときは、全ての作業をiPad上で行っています。まずはベースとなるフレーズをひらがなで書き出します。書き出したひらがなをひとつずつ漢字のどのパートに当てはめるのかラフに書きながら考えていくんです。

例えば、先ほどのリクエストの「ひろせすず」の場合「ひ」は「嫁」という漢字のこの部分に使えるなとか「せ」は逆にこの部分でしか無理だなとか、文字の組み合わせを何通りも考えていきます。

「あ」、「む」、「ね」のような大きめの文字は、当てはめにくいので先に使ってしまいます。画数が少ない文字は汎用性が高くどこにでも当てはめやすいので、とにかくいろんなパターンを試して一番それっぽく見える文字の組み合わせはどれか考えていきます。文字を当てはめていく作業自体はだいたい5分くらいですね。

──5分! そんなにすぐにできるものなのですか?

筆ぽよ:はい。文字を当てはめるところまでは結構すぐに考えつきますね。

でも、実はその後の作業が大変なんです。一番時間がかかるのは、実際に筆ペンで文字を書く工程です。漢字として正しい書き順ではなくフレーズの順番でひらがなを書いていくので、漢字としてそれっぽく見せるのが難しい。書き順が違うことでどうしてもバランスが取りづらくなるので、ひらがなをいかに漢字としてきちんと読める形に仕上げていくか、何度も書いて細かく修正していきます。

僕は、文字を書く過程をそのまま動画として投稿しているので、一発撮りでの魅せ方にも苦労しますね。実際に筆ペンで書いてみると、線の強弱が微妙だったり、ひらがなに見えなかったり、なかなか上手くいかないこともあります。撮影する際も、アングルやカメラが揺れないように気を配らないといけないので、かなり時間がかかります。一つの創作文字を撮影するのに軽く10テイク以上かかることもあります。

投稿をしていて面白いのは、普通に読める文字よりも読めるか読めないか判断が分かれるような創作文字の方がバズる確率が高いことです。

例えば「わ」を使ったとします。「わ」に見えるか微妙なものだと、SNSにでこれって「わ」じゃなくない?とコメントがきます。それが反響となって再生数がさらに伸びていきます。普通に読める字だったらすごい! で終わるけれど、微妙に「わ」に見えないものだと、本当に「わ」なのかどうか気になって何度も見てもらえるのではないでしょうか。

僕からすると出来が悪いなと思った創作文字が突然伸びたり、いきなり100万再生になったりすることがあるので、上手く書くことだけが全てではないんだなと感じています。

書かないといけない状況が字が下手な自分を変えた

──字を書き始めたのは何かきっかけがあったのでしょうか。もともとお好きだったのですか?

筆ぽよ:実は僕、字がめちゃくちゃ下手くそだったんです。でも、字を書かなくてはいけない状況になってしまった。それが字を書き始めた最初のきっかけです。というのも、僕はもともと飲食店で働いていて、そこは毎日おすすめのメニューを手書きしている居酒屋でした。ある時、毎日のメニューを書ける人がいなくなってしまって、字が汚いのに僕がやることになったんです。書ける人が誰もいなかったから、僕がやらざるを得なかった。

字が汚いなりに頑張って書いていたのですが、なかなか売上に繋がらなくて。せっかくやるならお店の売上に貢献したかったので、これじゃダメだなと思ったんです。字が綺麗じゃないと売上に貢献できない。そう思って自分なりに字を練習するようになりました。

──当時はどんな練習をされていたんですか?

筆ぽよ:居酒屋メニューでネット検索して、出てきたメニューをプリントアウトしたものをお手本にひたすら書いていました。とにかく良さそうなメニューを見つけたら徹底的に書き方を真似してましたね。

──やってみたら意外と楽しかった?

筆ぽよ:そうですね。最初は手当たり次第やってみるという感じでしたが、試行錯誤を重ねて半年くらいすると少しずつ変化が出てきました。見えやすくした商品が売れたり、自分が力を入れて書いたものが売れ出したりしたんです。自分の書いたメニューの文字が売り上げのコントロールに繋がっていると気づいてからはさらに楽しくなりました。

例えば、商品の配置を入れ替えてみたり、目立たせたい箇所に影を付けたり、「限定」という文字を入れたりするだけで、商品の売上が変わるんです。僕は接客がとても好きでずっと飲食業で働いていたのですが、誰でも同じように商品をおすすめしたり売ったりできるわけではないんですよね。特に新人だと難しい。その点メニューは、配置や見えやすさを工夫するだけでお店の売上に貢献できた。接客とは違う方法で「文字が勝手に営業してくれる」ようなイメージです。

また、お店には利益の出る商品と利益が出にくい商品というのがあって、お店としては利益の出る商品を売りたいわけです。メニューを使ってお店が売り出したい商品を見えやすく打ち出すことで、売れる商品をコントロールできれば、お店にもプラスになる。1枚のメニューを通して、売れる仕掛けを作ってその日のうちに効果が見えるのは楽しかったですね。

メニューは、綺麗な字で書いたものよりも、見やすさを重視した字の方が売れ行きが良い。居酒屋のメニューにカッコ良さやスタイリッシュさは必要なくて、太めの字とか人の目に入りやすい文字で書いた方が売れるんです。文字の見せ方で売上がどれくらい変わるのか、どんな文字が売上に繋がるのか、そういうのを考えながらメニューの文字を書いていました。

──面白いです! メニューで売上をコントロールするというのは飲食業では常識なんですか?

筆ぽよ:意識している店はあまりないと思います。だから画期的で、オーナーからは重宝されていました。この経験を活かして、今は仕事として他の飲食店のメニューを書く依頼を受けることもあります。

──居酒屋のメニューを書くところからスタートして、字を本気で学ぼうと思ったのは何かきっかけがあったのでしょうか?

筆ぽよ:コロナ禍の影響が大きいです。当時、勤めていた飲食店も完全休業になった時期があって、何かしないとマズイぞと本気で思いました。そこで思いついたのが「字を書くこと」でした。その頃はまだまだ下手くそだったのですが、飲食店のメニューを書き始めてから字を書くこと自体にどハマりしていたんです。本気で字をやりたい、もっと字を極めたいと思いました。

思わぬ休業で時間ができたので、字の練習を始めました。『三体千字文』という字の本を購入して、毎日何往復も写経をしました。とにかく字を綺麗にしたい一心で、スマホに入っていたアプリやゲームも全部消して、何時間もひたすら字を練習する日々が始まりました。

──ゲームも全部消す!!

筆ぽよ:字を練習するのもゲームに似ているなと思いました。ゲームってやればやるほど強くなるし楽しくなるじゃないですか。人間も同じだと思っていて、自分のスキルが身につくのがゲームみたいで楽しいんです。字の練習はきつかったでしょう? と言われることがありますが、僕としては自分の好きな時間に好きなことをしているだけだったので、そんなに苦ではなかったです。やればやるだけ上手になるし。どんどんのめり込んでいきました。

ちょうどその頃にSNSも始めたんですよね。もっと字が上手くなりたい、いろんな字を書きたいと思ったときに、せっかくならSNSで配信して自分の書いた文字を見てもらおうと思って。

最初はTikTokをやってみようかなくらいの軽い気持ちで始めたんです。フォロワーをたくさん集めたいというよりは、自分の字の上達のためでした。いろいろな字を練習したかったのでTikTokを視聴してくださっている方からリクエストをいただいて名前をひたすら書くだけのライブ配信を毎日していました。あなたの顔を描きます! という似顔絵師のような感じですね。

毎日TikTokライブ配信で名前を書き続けながら、先ほどお話したひらがなを組み合わせてある漢字を創る、いわゆる創作文字も投稿し始めました。それがバズって20万再生、30万再生とあっという間に再生数が伸びていったんです。

動画がバズると、ライブ配信の視聴者数も数ヶ月で2000~3000人に。同時にフォロワーさんも一気に増えていきました。TikTokだけをやっていたのですが、他のSNSでの反応も気になりYouTubeやInstagramでも投稿してみました。すると、同じようにバズってYouTubeやInstagramも数ヶ月であっという間にフォロワーさんが急増していったんです。なんかやばいことになってるなと思いました。

もっと綺麗な字を書きたいという動機だけだったので、今の状況は予想していませんでした。

最後にラクをしたいから、そのための労力は厭わない

──字の魅力にのめり込んでいったのですね。もともと筆ぽよさんは凝り性なのでしょうか?

筆ぽよ:僕は究極のラクしたがりだと思いますね。

──でも、ラクしたがりの方は毎日膨大な量の写経はしないんじゃないでしょうか?

筆ぽよ:手抜きをしたいからこそ頑張りたいと思うタイプです。例えば、仕事で仕組みやシステムを変えるのは結構な労力じゃないですか。でも、一度変えてしまえばその分ラクできるわけです。写経に関しても同じ考えで、字は一度上手くなってしまえば一生上手いままです。字が上手いって、人生において得にしかならないから一度本気を出して学んでみようと思ったんです。だから、僕はその労力は厭わないですね。

とにかく効率を上げたいというか、僕は仕事でもただ普通にするだけなのが嫌なんです。整理整頓が好きで、居酒屋時代も効率よく動くにはどう導線を作ったら良いかいつも考えていました。例えば、店で使う物をABCのカテゴリーに分けて配置するようにしていました。まずAは頻繁に使うもの、Bは割とよく使うもの、Cはほとんど使わないもの、とそれぞれカテゴリー別に物を分けます。分けた物を、今度は配置していく。Aは自分の手が届く場所、Bは手は届かないけれど近い場所、Cはあまり使わない場所に置きます。

そうすると無駄な移動が減って作業効率が上がるんです。居酒屋でこれを実践すると大人数で回さないといけなかったお店が少人数で回せるようになったりする。そういった仕組み作りが結構好きです。どうやったら効率良く動けるか常に考えているので、これは居酒屋だけでなく創作文字にも活きていると思いますね。何にでも応用が効くんじゃないかなと思います。

──仕組み作りはもともと好きだったのでしょうか?

筆ぽよ:飲食を始める前にアパレルで働いていて、その時の上司がすごい方でした。接客だけではなく、お店の中での立ち位置、商品の配置方法など細かく教えてもらいました。そのときの学びが基礎になっているかもしれません。

例えば、お店に入ってきたお客さんに対してすぐに話しかけに行くのではなく、わざと後ろに回ってお店の入り口側に立つ手法とか。そうすると、人間は人を避けるように動くので自然とお店の中をぐるぐる回るんです。お客さんが店内を回遊する時間が増えると目にする洋服の種類も増えます。その結果、手に取って買ってもらえる確率が上がるということを教えてもらいました。なるほど! と目から鱗でしたし、それ以外にも様々な店舗運営に関する理論や接客のテクニック学んだことが自分の中に蓄積されているのだと思います。

職場での話だと、自分がやる仕事が100、後輩がやる仕事が100あったとします。僕がちょっと頑張って120の仕事をやれば、後輩は80の仕事をすれば良いことになりますよね。後輩は楽になるので、残りの20プラスアルファで別のことをしなさいって指導するんです。そうすると2人で200しかできなかった仕事が結果的に220に増えます。後輩からは僕が後輩の分の仕事を手伝っているから信用を得られるし、220の仕事になればお店のプラスにもなるし、みんながハッピーで業務効率も上がっていく。そういうことを考えるのが好きでずっと考えていますね。

──生産性への飽くなき追求がすごいです。

筆ぽよ:でも結局、一番最後にラクになるのは僕なんです。後輩が育ってきて、僕と同じことをしてくれるようになったら最終的に僕のやることはなくなりますから。

──長い目で見なければいけませんよね、1ヶ月2ヶ月ではとても難しい。

筆ぽよ:そうですね。僕は、教育にかなり時間をかけます。なので、後輩を教育する際には1から100まで教えて、わからなかったら何でも聞いてと伝えます。一人で悩まないように、すぐに相談してきてもらえるような関係作りを意識していました。

後輩を指導するときに「なんでできないの?考えたらわかるじゃん」という言葉を耳にすることがあると思うのですが、後輩は考えてわからなかったからできなかったんですよね。考えて答えが出せなかった時点で、先輩に相談さえすれば解決できるんです。なので、僕は考えてわからなかったことは遠慮せずに聞いて欲しいと伝えます。1から100まで何度でも根気強く教えます。いろいろな考え方があると思いますが、教えたことを覚えてくれてプラスアルファ、例えばお客さんに対しての気遣いなどを、教えずにやっていたらめちゃくちゃ褒めるようにしています。

そうやって後輩を育てていくことは、自分の労力も時間もかかる。でも、時間をかけて後輩を育てていけば、将来的に自分がラクできるというゴールが見えているから僕は労力をかけることは気にならないですね。何ごとも地道が近道だと思っているので。

──コロナ禍で字の本を練習したのも「地道が近道」の考え方が影響している?

筆ぽよ:基礎を疎かにして自分が書きたいだけの字を書く人間になってしまうと、書くことをきちんと学んだ方からの支持が得られません。僕は自分なりにですが、字を学ばれている方と同じように練習をしているつもりです。独学だからこそ、独学でもきちんと字が書けると胸を張って言えるようにもっともっと練習して上手くなりたい。シンプルな文字も創作文字もどちらも極めたいと思っています。

──最終的にトップを取るぞと思っているから、地道なことができるんですね。

筆ぽよ:そうかもしれないですね。何かやるなら教えられるまで突き詰めたいと思っています。

──お話を聞いていて、失礼ながら、最初は極端な方だなと思って伺っていました。メニューを書くところから写経しようと思うところには、発想の飛躍があるように感じまして。上手くなるとか普通はやらないようなところにいくなぁと。

筆ぽよ:何事もとにかくやってみるタイプで挑戦している回数が多いんだと思います。そしてその分、苦手なこともめちゃくちゃ多いですが。

──そのような考え方はいつ頃に身についたものなのでしょう? 

筆ぽよ:自己啓発本が昔からすごく好きでしたね。

──影響を受けた方はいますか?

筆ぽよ:例えば、斉藤一人さんですかね。空いた時間があれば、斉藤一人さんの本を読んだり音声を聞いています。興味を持ったのは、ちょうど23歳ぐらいの頃です。ダンサーをしていた先輩が好きそうだから見てみたらと教えてくれたんです。学ぶというよりは、自然と入ってくる感じでしたね。

──他にも影響を受けた人はいますか?

筆ぽよ:影響を受けた人、というよりも好きな言葉があります。「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」という言葉です。自分が相手に対してどう頑張ったとしても、結局は相手に水を飲む気がなかったら意味がない。今、僕が一番好きな言葉で、考え方としても大事にしています。

何歳からでも字は上手くなれる、書くことの楽しさを伝えたい

──最近まで飲食でも働いていたそうですが、どういったタイミングで辞められたのですか?

筆ぽよ:自分自身、やると決めないとなかなか動かないタイプなので。真剣に文字を書くことを仕事にするぞと決意して動き出しました。

──本気でやるぞと決意したわけですね。今後、筆ぽよさんが力を入れていきたいことはありますか?

筆ぽよ:今は、ありがたいことに字に関する仕事をいろいろさせていただいています。今後は、文字クリエイターとして、TikTok、YouTube、Instagramいろんな方面により活発に活動していきたいと考えています。

それから、筆ぽよ塾という教材を販売しているので、それに力を入れていきたいですね。筆ぽよ塾は、鉛筆、筆ペン、ボールペンで書く字の上達を目指す教材なのですが、僕なりの解釈を入れた動画を見ながら一緒に練習することができるようになっています。動画とは別に、書く練習用の教材も毎月生徒さんへ郵送しています。この教材の特徴は、自分のペースで練習しながら、TikTok LIVEに参加してもらってリアルタイムでレッスンを受けられる、ハイブリットな形で進められるところですね。おかげさまで生徒さんもたくさんいるのですが、これからもっと増やしていきたいと思っています。

──生徒さんはどのような方が多いですか?

筆ぽよ:今は、女性が圧倒的に多くて、年齢層も結構高めです。僕もそうでしたが、大人になってからも字を書く練習をすれば、十分綺麗に書けるようになります。生徒のみなさんが楽しみながらどんどん上手くなっていくので、見ていて僕も本当に嬉しいですし、もっと良い教材を作ろうとやる気が溢れてきます。

筆ぽよ塾は本気で字が上手くなりたい方に入っていただきたいので、希望者には入る前に僕から必ずメッセージを送るようにしています。内容は、教材の説明であったり、字が上手くなるにはある程度期間が必要なこと、僕がどのような思いで筆ぽよ塾を運営しているかなどです。結構な長文になるのですが、納得してから入っていただきたいのでお一人お一人と細かくやりとりをするようにしています。

──その時点で無理かもと言われる方もいる?

筆ぽよ:いらっしゃいます。思っていたよりもガチだった、みたいな。でも、僕はむしろそっちの方が嬉しいです。字が上手くなりたいと少しでも思って一歩踏み出してくれた勇気だけでもとても素敵なことだと思います。

その中でも筆ぽよ塾に入って継続してくださっている方たちには、親身になってもっと寄り添ったサポートができたらなと思っています。どうやったら生徒さんのためになるか、常に考えていますね。一番大事にしているのは、楽しみながら結果を出させるということです。大前提としてまずは楽しんでもらうこと。楽しいと思えると人は物事を続けられますから。

今は本気で文字を学びたい方に向けた塾に力を入れていますが、今後はもう少しラフに字を学べる教材も作れたらなと。例えば、今の筆ぽよ塾よりもう少し気軽に字を学べるような本を出版できないかと考えています。字を書く楽しさをもっと多くの人に伝えていきたいですね。

──子どもの頃に思い描いていた大人の自分と今を比べてみてどうですか?

筆ぽよ:イメージしていた自分に近づいているなという感覚はあります。元々スーツを着たくない、サラリーマンにはなりたくないなと思っていました。若いときはダンスに力を入れていて、ダンサーとして活動もしていたのも影響していると思います。自分のやりたいこと、何かちょっと変わったことをしたい気持ちはありましたね。

今は、たまたま字の投稿で上手くいっていますが、それも1つのツールでしかないと思っています。元々いろいろなものに興味を持つ性格で、とりあえずやってみることを繰り返してきました。様々なことに挑戦してきた結果、たまたま字がハマって需要もあった。だから今は、1日のほとんどの時間を字に費やしてとにかく字を突き詰めたいと思っています。

筆ぽよ塾の生徒さんが「字を書いたときに褒められました」など嬉しいことがあると報告をしてくれるんです。それが僕にとっても自分のことのように嬉しくて。字は一度上手くなってしまえば、一生上手いままなので、人生において得だと思うんです。僕も大人になってから字を練習して上達していったので、その経験を活かしてもっと多くの人に字を書く楽しさを伝えたいと思っています。 (了)

筆ぽよさん
文字クリエイター。福岡県生まれ。
SNSの総フォロワー数は12万人。創作文字を投稿するとともに、自身で文字を学ぶ「筆ぽよ塾」を主宰。

https://www.tiktok.com/@fudepoyo
https://www.instagram.com/fudepoyo.0407/
https://www.youtube.com/channel/UCSdB9wMU5Da20V23x-kBuTQ?app=desktop

撮影/川野 雄三
執筆/北原 舞
編集/佐藤 友美

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