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幸福への実用書『精神科医が見つけた 3つの幸福』が整理してくれた、 #今日の空 2500回の実験

毎朝、空の写真を撮っている。撮った写真は #今日の空 を付けてInstagramにアップする。誰かに見せるというより、自分のため。2017年5月24日から始まった私の日常の中にある習慣、6月21日で2500回目。

4年ほど前のある朝、いつものように海へ行き、ラジオ体操をして、空を撮って、写真を上げたあとに、ふと幸福感が広がっていることに気づいた。特別なことがあったわけではない。仕事で大きな成果が出たわけでも、誰かに褒められたわけでもない。ただ、朝の空を見上げて、今日も一日の始まりが気持ちいいと思っただけだった。
それなのに、なぜこんなに満たされた気持ちになるのだろう。
その理由を知りたくて、幸福度やウェルビーイングに関する本を探していたときに出会ったのが、樺沢紫苑さんの『精神科医が見つけた 3つの幸福』だった。

この本は、幸福を漠然とした人生論ではなく、脳内物質の働きから整理して現実的・具体的に実践するTODOを明確に示している実用書。
心と体の健康を感じる「セロトニン的幸福」
人とのつながりによって得られる「オキシトシン的幸福」
達成や成功、成長によって得られる「ドーパミン的幸福」
幸福を3つに分類し、どうすればそれぞれの幸福を手に入れられるかの方法も示してくれている。私は、自分が続けてきた #今日の空 という習慣を分解して照らし合わせ、初めて言葉で説明できた気がした。

私の師匠でもあるさとなお(佐藤尚之)さんから教えてもらった「100人の中で1番になれることを作ろう」 という話をきっかけに始めた小さな試みだったが、この本を読んだ後に自分の行動を振り返ると、3つの幸福がすべて入っていたのではないかと思う。

まず、朝、空を見て光を浴びる。
写真を撮りに外に出て歩く。
季節の変化に気づく。
深く呼吸する。
それらは、セロトニン的幸福に近づく時間だと思う。
4年前、神奈川県逗子に住んでいた頃は、毎朝、海に向かって歩いていた。6時半から海辺で開催されるラジオ体操に参加して、空の写真を撮ってアップする。あの時間は、今思い返しても最高に幸せだった。何かを達成したわけではない。ただ、朝の空と海の前に立って深呼吸して、今日も気持ちいい! と思っていた。
その感覚は、以前スノーピークHQで働いていた頃にも何度も感じていた。
社屋から外に出て空を見上げるだけで、少しだけ落ち着く。
キャンプに来るユーザーさんたちも、忙しい日常から離れて自然の中にいると、少しずつ表情がほどけ、自分らしさを取り戻していくように見えた。一緒に焚火を囲みながら、野遊びを通じた「人間性の回復」という話をよくしていた。
自然に触れることが、ポジティブな感情やメンタルヘルスと関係しうることは、いくつかの研究でも示されている。

次に、SNSにアップすることで生まれたつながり。
空の写真を見た友人が「最近どう?」と連絡をくれることがある。
1000投稿目の日には、「今日の空の写真を撮って、SNSにアップしませんか?」という呼びかけに応えてくれた方が100人くらいいた。
空の写真を撮り続けるとウェルビーイングが高まるか、という研究をしている方とつながったこともある。
空の写真は、一方通行の投稿ではなく、ゆるやかなつながりを生んでくれていた。
これは、オキシトシン的幸福だったのかもしれない。

そして、2500回という数字。
最近、このまま5000回まで続けたら何歳になるのだろうと数えてみた。
すると、偶然にも5000回目はちょうど60歳の誕生日、還暦の日だった。
数字にしてみると日々がちゃんと積み重なっているのがわかり嬉しくなる。
達成感、進捗、自分が続けてきたことを目に見える形で確認できる喜び。
これは、ドーパミン的幸福に近いのだと思う。

すごく順調にやってきたかのように振り返ってしまったが、ずっとちゃんと続けてこられたわけではない。仕事が忙しくてあっという間に時間が過ぎてしまった時期も、体調が悪くて空を見上げる余裕がなかった時期もある。
それでも、コロナ禍に仲間と一緒に何かを1000日続けようという「1000日チャレンジ」に参加したり 、ずっと一つのことを続けて専門家になった友人に刺激を受けて、空の写真を撮ってInstagramにアップする習慣が復活した。
最近は、母を朝の散歩に連れ出すきっかけにもなっている。「空を見に行こう」と外に出ることが、母の健康にも、自分の健康にも、少しだけ役に立っているのもありがたい。

この『3つの幸福』を読んでよかったのは、自分がなんとなく感じていた幸福を整理してくれたことだった。現場で見てきたことや毎朝空を撮りながら感じていたことに、言葉を与えてくれた。
幸福は、大きな成功の先にだけあるものではない。朝起きて、空を見て、外に出て、歩いて、誰かとゆるくつながり、自分の時間が積み重なっていると感じることの中にもある。
最初は、ゆるく始めた空の写真だった。でも今は、「私が私に戻るため」の習慣になっているし、ウェルビーイングを学ぶきっかけにもなった。

今日の空、2500回目。
毎日続ければ、還暦の日になる5000回目の空。
その日も、特別な空でなくてもいい。晴れていても、曇っていても、雨でもいい。
ただ空を見上げて写真を撮っていられたら、きっと幸福だ。

まだ見ぬ、5000回目の空へ。

文/伊豆 昭美

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