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倦怠期の彼氏【さとゆみの今日もコレカラ/第 135 回】

昨夜ライターの友人と飲んでいて、日本語が美しいことと、一気に読ませる原稿を書けることは別の技術だよね、みたいな話になった。CORECOLOR メンバーの原稿、さとゆみさんはどんなふうに指導しているんですか? と聞かれたから、「もしもぐいぐい読ませる原稿になっていなかったら、一度電話で話をする」と答えた。

たとえば、レビュー原稿の場合。

「そのライブに行って(その本を読んで、その映画を観て)何が一番記憶に残ったのー?」と、聞くと、その人は自分が一番心を動かされた瞬間を話しだす。へぇええ、なるほど、と思う。「どうしてそんなに感動したの?」と聞く    と、自分の悩みに対するアンサーのように思えたとか、子ども時代に好きだったものを思い出したとか、その理由を話し始める。ほおおおお、面白い、そんなことを考えたんだね、となる。

ひとしきり聞いたら、「うん、じゃあ、それを書いてみようか」と、伝えて電話を切る。別人のようにビビッドな原稿が上がってくる。

このように、「人に一度話をする」は、とても有効だ。レビューだけではなく、インタビュー原稿でも同じだと思う。その場にいなかった人に対して、「ねえねえ聞いて、今日こんな話を聞いたの」と伝える時に、どの話を最初に伝えたら相手が興味を持って聞いてくれるか。それを考えることは、3000 字の原稿の書き出しを決めることに似ている。

昔、小学生の作文指導で、「先生、あのね」から書かせる方法が流行った時代があるが、あれに近い。

話すように書ける(この場合の  “書ける”  は、文章がすらすら書けるという意味ではなく、構成ができるの意味)人の原稿は、面白いし、一気に読める。

この、「ねえねえ、聞いて」の相手は、話を半分聞き飛ばすようになった倦怠期の彼氏(彼女)くらいがちょうどいいと思う。付き合いたての頃はなんでも真剣に聞いてくれたけれど、いまは全然私の話を聞いてくれなくなった。そんな、自分への興味もおしゃべりする時間への興味も失せた彼氏を振り返らせることができる「ねえねえ、聞いて」の次の一言は、なんだろうと、考える。

web の読者は倦怠期の彼氏以上にシビアだ。大量の情報に飽き飽きしている。できれば目も耳も塞ぎたいと思っている。

倦怠期の彼氏を振り返らせることすらできなくて、そんな読者を振り返らせることはできなくね?

みたいな話をしていたら、あっという間に夜が更けていきました。かっこう。

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――厨房、すごく明るいですね!

唐渡:この店で一番日当たりのよい、気持ちのいい場所なんです。本当はこういう場所はお客さまのために使うべきなのかもしれないのですが、スタッフが良い環境で働いていないと、良い料理もサービスもできないと思うので。

ここ、床も傾斜を作らないように、平らな設計にしているんです。通常、飲食店の厨房の床は、水はけをよくするために傾斜がついているのですが、それが原因で三半規管に支障をきたしたり、めまいを起こす人も多いんですよね。料理人にとっては、厨房が「職場」ですから、少しでも良い環境にできるようにと考えました。

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