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会いたい人、会えるうちに【さとゆみの今日もコレカラ/第 240 回】

知り合いの店で一杯飲んでいる時、お世話になった方の訃報を聞いた。来月お別れ会があるという。お若い方である。びっくりして飲んでいたハイボールのグラスを落としそうになった。

以前も書いたが、人の死とは不思議なものだ。

訃報を聞くその瞬間まで、その方は私にとっては生きていた。もうだいぶ前に亡くなっていたのに、昨夜、私の中でその方が亡くなった。

全国各地でご一緒させてもらった。海外にも連れて行ってもらった。子どもを生んでからの初仕事も、その方の仕事だった。ダンディな方だった。闘病中のお見舞いは全部断っていたという。

お世話になった方と次にお会いする時がお葬式ということが、最近増えてきたと思う。そういう年齢だ。

先日出版記念のトークイベントで、師匠と話をさせてもらった。

「さとゆみさんの人生に影響を与えた書籍は?」と質問され、ある作家さん の名前と書籍名を答えた。川島なおみさんが、私の身体はワインでできていると言ったくらい、私の身体はその方の著作でできている。命を救ってもらった、と感じたこともあった。

「そのこと、その作家さんにはちゃんと伝えた?」と聞かれた。「いえ、一度も」と答えたら、「すぐに伝えた方がいい」と言われる。ファンレターを書くのでもいいし、サイン会に行くでもいい。とにかく、先方がお元気なうちにお伝えした方がいいと言われ「明日すぐ、やります」と答えた。

そのやりとりをオンラインで聞いていた方から「その作家さん、秋に九州でトークイベントをするらしいです」と連絡があった。まだチケットは販売になっていないが、スケジュールをブロックする。それとは別にファンクラブ的な場で、オンラインのオフ会もあることがわかった。その場で申し込んだ。

オフ会には 50 人くらい集まっていた。その作家さんの声を聞くのは初めてだ。思い描いていたイメージのままの話し方をなさる。ひとしきり作家さんが近況をお話なさった後、少人数のブレイクアウトルームを回り、ひとことずつ直接お話しできる時間を作ってくださった。

小学6年生の時に先生の本に出会ったこと、その時に読んだ一節をずっと大事に抱えて生きていること、今は物書きをしていることをお伝えした。ものの1分くらいの時間だったけれど、緊張しすぎて5回くらい噛んだ。

大ベストセラー作家さんである。多分そんな感想は何万回と聞いてきたであろう。

それでも、先生が「そうでしたか。書いてよかったー」と、おっしゃってにこっと笑った時、勇気を出してオフ会に参加してよかったし、お伝えできてよかったと思った。

もちろん、先生のためにではない。私のために。

十分すぎるほど大人になった今、自分の人生に大きな影響を与えてくれた人の顔を思い浮かべる。何かの機会に再会できたら感謝を伝えたいと思っていたけれど、その機会は自分で作らないときっと訪れない。今年の下半期は、そういう時間にしよう。

【この記事をおすすめ】

私は今日も家の中に残された最後の野生、台所を守り続ける。

アリスさんから受け取ったバトンを胸に、「おいしい革命」の革命家の一員として。

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