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説教しない方法【さとゆみの今日もコレカラ/第570回】

いま読んでいる小説に、こんなことが書かれている。

誰でもできる仕事ほど、一番差がつく。

そこでつく「差」が、あなただけの「個性」である。

読んだ私は、いたく感動をしたのだけれど、いまこうやってその骨子を書き出すと非常に陳腐だし、説教くさい。

小説を読んでいるときは、説教くさいとは全く思わなかったのだ。

なぜか。

それが、物語の力なのだと思う。

「誰でもできる仕事ほど、一番差がつく」

これを描かれる場面までに、小説では百ページほどの紙幅が割かれている。

この言葉を素直に受け取れるようになるまでに、私たちは主人公と一緒に「うざいな」「かったるいな」「面倒だな」「ラクしたいな」。

「でも、頑張りたいな」「こんなはずじゃなかった」「やり直したいな」を振り子のようにいったりきたりする。

その上で語られる「誰でもできる仕事ほど、一番差がつく」だからこそ、ちゃんと体験できるのだ。

そう、「体験」するのである。

言葉づらを受け取るだけではなく。

尊敬する友人のシャープさんは、これを「物語の迂回の力」と言った。

「スラムダンク」の「あきらめたらそこで試合終了だよ」も

「ちはやふる」の「青春全部賭けてから言いなさい」も

言葉にするなら20文字以内ですんでしまう。そして物語を知らなければ説教くさい言葉でもある。

この言葉が素直に聞けるのは、物語の力なのだ。

なんてことを考えながら、今日も迂回している。

★今日もコレからは毎朝7時に更新して24時間で消えるショートエッセイです。今日もコレカラ良い一日を!

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