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クラフトプレス(ZINE)の聖地・藤原印刷さんで自分の本が印刷されるところを見学してきた!

CORECOLOR編集長のさとゆみです。

CORECOLORで毎日連載している「今日もコレカラ」、366日分を一冊にまとめることになり、その印刷をお願いした藤原印刷さんの工場にお邪魔してきました!!

私も、自分がZINEを作ることになる前は不勉強で存じ上げなかったのだけれど、藤原印刷さんといえば、クラフトプレスやZINEを作る人たちの間では、知る人ぞ知る印刷会社さん。凝った装丁のZINEや、ここまでのこだわり!とうなってしまうZINEの奥付を見ると、よく「藤原印刷」の名前に出会います。
文学フリマ常連の友達に聞くと「うわあああ、憧れの藤原印刷!! 私も一度お願いしたい。羨ましすぎる!」と言われました。

私はつい2ヶ月前、日本仕事百貨さんが主宰する「文章で生きるゼミ」のゲスト講師としていらした藤原章次さんにお会いして、そのお話に魅せられまくってしまい、その場で「私も藤原印刷さんで本を作らせてください」とお願いをしたのでした。

その藤原さんと初めて打ち合わせさせていただいたとき、さとゆみさん、印刷に立ち会いませんか? と聞かれました。「あ、はい、ぜひ!」と軽く返事をしたら、なんと、工場は長野県の松本市にあるという。一瞬ビビったのだけれど、藤原さんは「いい経験になると思います」と背中をおしてくださり、かくて、ゼミ仲間7人で、藤原印刷さんで「今日もコレカラ」が印刷される瞬間に立ち会ってきました。

これが、本当に得難い経験だったので、みなさんにも紹介させて!!!

最初に案内いただいたのは、本文部分を刷る機械の前。

ちょうど、テスト印刷された本文が刷り上がっていて「このインクの濃度で大丈夫でしょうか? チェックしてください」と言われます。

印刷は、1枚の紙に16ページ分。裏表で32ページ分が印刷されています。今回は、せっかくのクラフトプレス(ZINE)なのだから、商業出版ではできないことをいろいろやりたいと思いました。

そのひとつのこだわりが「タブロ」と言われる新聞紙のような紙で本を作ること。

色の濃度をチェックしているさとゆみ

あまりにもその手触りが気持ちいいので、ついつい、なでなでしてしまいます。

なでなで。嬉しい。この紙にしてよかった!

オフセット印刷は、いわゆる「版」といわれるアルミに文字が組まれていて、そこにインクがのって印刷される仕組み。印刷する前の「版」は、グレーだけれど、インクがのったあとの「版」は、黒になります。

これは、これから印刷にかかる「版」

いろんなやり方があるそうですが、この「版」の管理は難しいので、もっても2週間くらいなのだそう。だから、一度納品部数を刷ったら廃棄して、重版となったら、また新しい「版」をつくるのだとか。

文字がぎっしりの本よりも、ポエムのような文字が少ない文章のときのほうが、裏写りがないか、色の濃度の差が出ないかの管理が難しいのだとか。
文字の少ない本は、インクの量は少なくて済むけれど、逆に「この濃度!」となる調整までが時間がかかるのだそう。へええ、の連続である。

今回一緒にいった仲間の中には、巨大印刷会社に勤める人もいて、その彼女が「枚葉印刷なんだ!」と感動している。枚葉とは、1枚ずつ刷る方法。大量印刷の場合は、輪転機にかけて印刷する。つまり大きなトイレットペーパーみたいな感じで刷って、それを裁断していく方法。藤原印刷さんのこの機械は、1枚ずつ、機械の途中で裏表ひっくり返して印刷する方法でした。

「表紙の印刷もぜひみてください」と言われ、表紙を印刷する機械のほうに移動する。

今回は、ZINEならではの両A面! 表紙も裏表紙も可愛いよーー!

こちらでも、すでにテスト印刷が仕上がっていて、今回はカバーがないので、ニス加工するのだけれど、そのニス前、ニス後の両方を見比べてチェックさせてもらえます。

驚いたのは、大量のテスト印刷が置かれていたこと。今回は初版500部の小ロットなので、印刷自体はすぐに終わってしまう量なのだけれど、そのために、こんなにたくさんのテスト印刷をして、色を調整してくださっているのだという。「実際に刷る枚数より、テストの方が多くなることもよくあります」とのこと。

試し刷りされた表紙の束

藤原印刷さんは、難しい色の表現に定評のある印刷会社さん。写真家の方が自分の写真集に指名する印刷会社でもあります。
こんなに丁寧に刷っていただいているんだと思うと、じんわり。

こんなふうに、ルーペで表紙を見ると、色部分はドッドで表現されているのに気づきます。
CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、キープレート黒)の4色のドッドのインク量を調整することで、繊細な色表現をしているの! びっくりです。

ルーペで見ると、この色は無数のドッドの重なりで表現されている。スーラの点描画みたい!

実際には、こうやって人間の目でも確認し、コンピューターの数字上でも確認し、色のずれがないかをチェックするのだとか。
「機械を使いこなすだけなら、数ヶ月から半年くらいでできるようになるけれど、こういう調整ができるようになるには、数年かかるんですよ」と、印刷部の土井部長がお話してくださる。

機械のほうを見ると、まさに、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、キープレート黒)の4色が並んでいる。こうやって印刷されていくのか! と納得です。

今回はニス加工するので、一番手前にニスを塗る工程がある。

そうやって刷られた表紙。もう、愛おしくて仕方ありません。色の確認をして、OKサインをしてくださいと言われます。もちろんもちろん、だいだいだいだいOK!です。

この色で印刷を進めてくださいのOKサインを書く

たった500冊のために、こんなふうにプロの方々の仕事があって、大切に印刷してもらって、それでこの本をみなさんに届けることができるのだなあと思ったら、ほんと、じんわりしたし、この一冊は私にとって、本当に大切な一冊になると思いました。

この興奮をX(Twitter)にポストしたら、藤原さんから、こんなお返事がきました。

こんな人たちに刷っていただいて、本当に幸せ! 
藤原印刷さん、すれ違う方すれ違う方、全員がにこにこと挨拶してくださって、説明くださる方々もみなさんお優しくて、本当に、幸せでした。

そして、この本を1冊1冊、大切に届けていくぞ! という気持ちがますます盛り上がりました。

このZINEは、「みなさんが、いま、考えていること、興味があること、悩んでいること」を事前に教えてもらって、その気持ちに合いそうな文章を366日から選んで、栞にメッセージを添えてお送りします。

みなさんにとっても、特別な一冊になりますように!!

「今日もコレカラ」はCORECOLORのクラウドファンディングで購入できます

裏表紙はこちら。今回バーコードを入れなくていいので、両A面にしました! お好きなほうを飾ってほしい!

このZINEが購入できるCORECOLORのクラウドファンディングは、あと4日。

素敵な一冊になったので、ぜひぜひ、みなさんにも手にとっていただけたら嬉しいです!

文/佐藤 友美
撮影/守光 真優美

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