
お金持ちのお金の使い方【今日もコレカラ/第651回】
お金持ちの友人がいる。
稼ぎにして多分1桁、いや2桁かな。資産にしておそらく2桁。いや3桁かもしれない。
私とお金の保有量がそれだけ違う彼女と、先日1週間、執筆合宿をした。
その彼女のお金の使い方が面白かった。
私たちが泊まったのはイギリスの田舎の一軒家で、車がなければどこにも行けないような場所だった。なので、基本は自炊。彼女は米を2キロ、お蕎麦を2袋携えてきてくれた。
ところが、せっかくのお米とお蕎麦なのに、その宿には、箸がなかった。しまった。持ってくるべきだったと思ったら、彼女が「割り箸、何膳かありますよ」と言う。
そして、「私、自分のお箸も持ってきていますので」というから見たら、小学生が使うようなお弁当用の小さなかわいいお箸箱とお箸だった。「もう、10年以上前から使っているんです」と彼女はいう。多分娘さんのお弁当用だったのではないか。ピンクのお箸は先のほうが丸くなりかけている。
物持ちがいいんですねとびっくりしていたら、「傘は、大学時代から20年以上使っています」と言う。はああ。雨が降るたびにビニール傘を買ってしまう私とは全然違う。
途中、宅配で食料品を注文したのだが、先方の不備で荷物が到着しなかった。1日遅れで再配達してもらおうとなったとき、彼女は「では、1日分、減らしたほうがいいですね」と言って、カートの中身を真剣に精査しはじめた。
「レタス、いりますか? ケールがあるからなくても良いですかね」
「さとゆみさん、ナス、どうしてもいりますか? 結構お高いです」
と、真剣に詰め寄ってくる。なるほど、これがお金持ちのお金の使い方か、と思う。
かと思えば、最終日のロンドンでは「メイフェアでアフタヌーンティーをしましょう」と、さっくり5つ星ホテルに予約を入れていた。私たちの1週間分の食材費に匹敵するくらいのお茶だったのではないかと思う。
なるほど、これがお金持ちのお金の使い方か、と再び思う。メリハリがきいている。
彼女とは、お茶のあと別れた。メイフェアで5つ星ホテルに泊まったら、さとゆみは破産してしまう。
1週間滞在したイギリスの宿には、素敵な絵が飾られていた。
ネットで画家の名前を検索したら、同じ絵が売られていたので、2人で相談しておそろいで2枚購入した。
数日後、彼女の滞在するロンドンのホテルに届いたと連絡があった。
「いいお買い物でしたね。さとゆみさんの分は、帰国するときに持っていきます」と彼女は言う。
たしかに、いいお買い物だったと思う。
その絵を見るたびに、私きっと、お金持ちのお金の使い方と、お弁当用のお箸のことを思い出すだろう。
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私はもともと財布のひもが固く、一度買ったらめいっぱい元をとろうとします。


