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書店は一番身近なパワースポット。『あなたの「運命の本」が見つかる 星のビブリオ占い』

パワースポットが好きで、よく情報を集めている。神社仏閣が多いけれど、自然あふれる山や、東京タワーやスカイツリーなどの電波塔もパワースポットになるらしい。

最近は、都内の中央区日本橋にある小網神社に行ってきた。経営者の方が多く訪れると言われていて、強運厄除けの神さまが崇められている神社だ。東京大空襲の際、周りが焼け野原になったにも関わらず、境内の建物は戦火から免れて無事だった。さらには第二次世界大戦時にも、この神社のお守りを持って出兵した兵士は全員無事に帰還したといわれている。

夫と猛暑の中お参りして、御朱印も購入し、リビングに飾った。もちろんパワーを授かりたい気持ちもあるが、どちらかというと「パワースポットに行ったから、運気が良くなっているに違いない」というプラシーボ効果を求めているような気がする。

次は港区の愛宕神社に行って、出世の石段でも登ろうか。いやそれよりパワースポットとして有名で、標高1,100メートルの山上にたたずむ埼玉の三峯神社にも行ってみたい。

しかし神奈川に住むわたしにとって、埼玉の奥地は少し遠い。パワースポットに大して興味のない夫は都内までしかつきあってくれないし、車で行くにも、首都高や山道の運転がこわいわたしに1人で行く勇気はない。

どうしたものかと思案していたら、もっと身近な場所にパワースポットがあることを教えてくれた本がある。それが、『あなたの「運命の本」が見つかる 星のビブリオ占い』だ。

著者の星尾夜見(ほしおよみ)さんが言うには、本にはたくさんのエネルギーが宿っていて、書店は一番身近なパワースポットになるそうだ。たしかに電波塔がパワースポットになるのなら、書店も大量の情報を発信しているのだからそうなるのかもしれない。

この本を読み、ふと若い頃のことを思い出した。子どもの頃から本が大好きだったわたしは、事あるごとに本屋さんへ出向いていた。ふと時間が空いたときや、仕事帰り、むしろ忙しいときにもわざわざ隙間時間を見つけて行っていたように思う。

目当ての本があって行くときは少なく、次に読む本を見つけるために行くことが多かった。ワクワクしながら書店の棚を巡ることもあれば、疲れていて、ただボンヤリと歩くこともあった。気になる本をカゴにバンバン入れていき、本の衝動買いをしていたこともある。この行為は若い頃、わたしのストレス発散法だった。もしかしたら書店や、書店に並ぶ本たちから自然とパワーをもらっていたのかもしれない。知らず知らずのうちに元気が出る方法を身につけ、無意識に行動していたのかもしれないなぁと思った。

本には星座別のおすすめ書籍が紹介されていて、自分の星座や家族や友人の箇所をそれぞれチェックするのも楽しい。悩み事を考えながら書店を歩いていると、今の自分に相応しい本が目に入ってくるという、書店で使えるカラーバス効果も紹介されていた。また星読みを生業としている著者が教えてくれる、月の満ち欠けに関する運気の上げ方や読書術などの情報も満載である。

わたしは占い好きだけど、次の日には忘れてしまうところがある。そんなわたしにとっても、これは取り入れたい! と思える内容が多くて読みやすかった。

例えば、少し難しい本、レベルが高いと感じる本があれば、本棚で熟成させれば良いとのこと。ワインの熟成期間に例えられていて、「ワインの飲み時期はワイン自体にあるけれど、本の読み時期は読み手にある」と書かれていた。無理して読まずとも、読みたいと思える時期まで寝かせておけばいいとのことだ。

また、自分以外の星座の特徴やエネルギーを取り込みたいと思ったときは、この本に紹介されているその星座のおすすめ書籍を読めば良いらしい。

著者の星尾さんは、星と占いの世界にハマり過ぎて、自分の行動すべてを占星術に頼って決めていた時期があるという。自分の意思や努力よりも星の力を過信するようになり、いつのまにかすべてが上手くいかなくなった。それ以来、占星術を盲目的に信じるのではなく、ある種の天気予報のように捉えることにしたと語っている。そういった著者の思いが、この本にも存分に表れていると感じた。

パワースポットに行ったからといって、人生が上手くいくわけではない。それよりも大切なのは、もちろん自分の意思や努力だ。ただほんの少し背中を押してくれたり、前向きになれたり、自分の人生のサポートや手助けとして楽しむことが大事だと思う。この本を読み、そういった気持ちを改めて確認することができた。

わたし自身、子どもを産んでからはkindleのヘビーユーザーになり、すっかり書店から足が遠のいていた。新たな本を選ぶ楽しみも増えたし、また書店に行こう。わざわざ遠出しなくてもすぐそこでパワーを補充できるなんて、お得すぎる話だ。

「書店は一番身近なパワースポット」。

この本が教えてくれて、思い出させてくれたという感覚だった。この本に出会えたことがラッキーで、すでにわたしはいい運気を手に入れているのかもしれない。

文/いしげ まやこ

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