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知られざる美容師の生態。【CORECOLORメンバーリレー連載/第4回】

CORECOLORは、さまざまな業界に深く入り込んで取材をしたり偏愛を追求したりする個性豊かなメンバーで運営しています。ここではその業界に精通したメンバーならではの、業界あるある面白話や、知っておくとお得な情報を、現場からお届けします。第4回は、札幌で美容師をする米田美由紀さんが、知られざる美容師の生態をお届けします。


こんにちは。米田美由紀と申します。札幌で美容師をしています。皆さまは美容師にたいしてどのようなイメージをお持ちですか?「遅くまで働いて、休みも少なそう」でしょうか? 「おしゃれでモテそう、話しをするのも聞くのもうまい」でしょうか。

美容師を生き物にたとえると、たぶん500種はいると思います。とぎすまされたカリスマタイプから、保健室の優しい先生タイプまで多種多様です。
ですが、「美容師」という生き物にはいくつかの共通の生態があります。美容師あるある、今回はそのなかの10選を。

生態①目がいい

目にカメラ機能がついているので、見たものをそのまま記憶します。たとえば、ヘアカタログの写真や、携帯のヘアスタイル画像は、カシャリとまばたきをするだけで脳内のフォルダーに保存されます。一度だけ担当したお客様も、話した内容は忘れてもヘアスタイルと座った席や服の色は忘れません。

生態②耳もいい

耳から伝わるいろいろな音を聞きとります。お客様の来店時のドアの開く音、シャンプー台からもどって来る足音や、遠くでの会話など、店内の状況を把握するために耳をはたらかせています。アシスタントがあと何分でブローを終了するのかもドライヤーの風の音の変化でわかります。

生態③手でいろいろ調べます

髪の状態を正確に把握することが、ヘアカラーやパーマの薬剤選定に重要です。そのために、目で確認できる髪質やダメージだけではなく、髪の油分量や水分量などもはかる必要があります。その診断に使うのは「手」です。
髪を持った重みや、指で押した時のもどり方などで判断していきます。美容師は髪の手触りが好きですが、それだけではなく手から情報を得ようとする生き物でもあります。

生態④直接向かい合うと緊張する

「誰かと食事に行く時は、カウンターで隣同士がいい。テーブル席は話しづらい」と言う美容師は多いです。一日のほとんどをお客様と鏡ごしに会話をしているので、真正面で対面すると急にそわそわしてしまうのです。カウンセリングはお客様の隣に座って行うことが多いので、横に座るのは意外と平気です。

生態⑤白い服の美容師はカットがうまい

モノトーンの服を好んで着る美容師は結構います。モード系の服を好む美容師が多いせいもありますが、他の理由もあります。カットはお客様の後ろに立って行うので、自分の服が背景になります。白い服だと、ヘアスタイルの形がはっきりと見えるので、カット(特にショートヘア)が得意な美容師は白い服を着ることが多いです。一方で、カラーの施術が得意で、カラーメニューのオーダーが多い美容師は黒い服を選びがちです。汚れが目立ちにくい黒の服は頼りになるからです。

生態⑥「美容師は器用」はウソ

美容師の仕事に必要な技術の多くは、同じ仕事をていねいに繰り返すこと(カラーの塗布や縮毛矯正のアイロン操作は数センチ単位です)。カットでも最初は正確な角度で切ることが一番重要です。美容師を続けているのは、器用な人もいますが、コツコツと技術を身につけていった不器用タイプが多いです。器用な人は器用さを必要とする応用技術を覚える前にやめてしまうことも。

生態⑦「休みが全くない」ことはない

「働き方改革」は美容業界にも浸透しています。営業時間もしっかり管理され、週休2日の店がほとんどです。コロナ禍の影響も大きく、アシスタントの練習も営業時間内に行うことが増えました。ちなみに社員として働いている場合、ほとんどの美容室の給料体系は「基本給+歩合給」です。歩合給は売り上げによって決まることが多く、指名が増え、売り上げが伸びると先輩の給料を超えることもあります。

生態⑧ときどきエスパー並の勘がはたらく

「あれ? もっと切ってほしいのかな」「本当は、トライしてみたいヘアスタイルがありそうだな」など、お客様が言葉にできていないことを、表情や目線、体の動きでよみとろうとしているので、勘がよくなってきます。「お客様を思い浮かべたら、その方の予約が入る」は美容師あるある第1位だと思います。電話の音で誰からの電話なのかがわかることも。
耳の良さと、この勘の良さが掛け合わされると、スタッフルームでおやつを食べていても、誰が入ってくるかがわかるようになり、そのおかげでこわい先輩が入ってくる予感がした時には仕事をしていたフリができるようになります。

生態⑨手を見れば職業がバレる

美容師のハサミの持ち方は紙を切るハサミの持ち方と違います。2つの穴のひとつに薬指を入れて、人差し指・中指・小指で挟むようにハサミを支え、開閉はもうひとつの穴に添えた親指のみで行います。そのため、親指の付け根の筋肉が力こぶのように発達しています。
カラーを流すシャンプーで爪が茶色に染まります。ネイルをしていても染まるので、1週間経つとどんな色のネイルもグレーに近づいていきます。

生態⑩ 箒さばきが華麗

一畳ほどのセット面の床を5秒で四隅まで掃くことができます。ですが、家での掃除が得意とは限りません。タオルを素早くきれいにたたむことは得意です。

「美容師」という生き物の生態はいかがでしたか。まだまだ知られていない生態もあります。美容室に行く時にはぜひ、美容師を「生き物」として観察してみてください。

札幌の美容師の米田美由紀でした。現場からは以上です!

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