「学生時代の友人と昔のような関係は築ける?」と不安なら『マダムたちのルームシェア』を読んで“またいつか”に思いを馳せて【連載・あちらのお客さまからマンガです/第6回】
「行きつけの飲み屋でマンガを熱読し、声をかけてきた人にはもれなく激アツでマンガを勧めてしまう」という、ちゃんめい。そんなちゃんめいが、仕事や人間関係、恋愛……などのお悩みに対して、おすすめのマンガと共にアドバイスをお届けします。
第6回目は、えいさん(仮名)からのお悩みです。
“学生時代の友人との関係を大切にしたいものの、トーク内容の変化を感じる日々です。仕事への熱量や結婚出産の経験など人それぞれなので今は仕方がないかなあと思っていますが、いつかまた、昔のような関係を築きたいです。そんな望みを持ち続けられるような漫画ありますか?”
昔からの友人って、その分長い年月を共にしてきたのだから誰よりも互いのことを理解しているはず。なのに、なぜか徐々に話が噛み合わなくなったり、または「こんな人だっけ?」と突然苦手に感じるようになったり……。年齢と共に友人関係が変化していくのって(しかもあまり良くない方向へと)本当になんなんでしょうね。でも、これに関しては意外や意外! 受験マンガの大名作『ドラゴン桜』で妙に納得のいく答えを見つけたんです。
1年も経てば人は変わる、なんなら細胞単位で別人になる
まず、『ドラゴン桜』とは、元暴走族にして今は超やり手な弁護士・桜木が独自の受験メソッドを用いて、超落ちこぼれの高校生たちを東大合格へと導く物語。で、肝心の“妙に納得のいく答え”とは、桜木が東大受験を目指す生徒・水野直美にかけたセリフにあります。
東大模試の後に、時間が足りなくて問題が解けなかったと落ち込む直美。そんな彼女に桜木は「1年経てば人間の細胞の約9割はまるっきり新しくなる」と話し始めます。人間の細胞が9割新しくなるということは、1年前の細胞はほとんど残っていない……だからお前は完全に入れ替わっているのだと。すなわち、人は1年もあれば大きく変われる。問題が全く解けない状態から、時間がなくて解けなかった域まで成長しているじゃないか! と本作の魅力でもあるアツい“桜木節”をモロに感じるシーンです。
受験生はもちろん、長期的な目標を立てている人にとってはかなり響きますよね。でも、この“1年で細胞の約9割が新しくなる説”は友人関係にも応用できると思うんです。どんなに付き合いが長くても、その人が昔のままずっと同じとは限らない。なんなら、人は1年ごとに細胞単位で別人になっている! だから、トーク内容に変化が起きるのも、昔のような関係になれないのも当たり前のことなんだと。
自分はもちろん友人も誰も悪くない、この変化は自然の摂理である。そう思うと、自然の流れに身を任せておけば、またいつかどこかで交わる時がくるのかなと楽観的に捉えられるようになりました。
独身、離婚、死別で独り身……半世紀を経て交わる3人のマダムたち
とはいっても、それはいつの話?! ってなりますよね。ですが、そんなまさに“またいつかどこかで交わる時”を描いた希望の書みたいなマンガがあるので、今回はその作品を布教させて下さい。
それがこちら、seko koseko先生の『マダムたちのルームシェア』。タイトル通り、ルームシェアをするマダムたちの日常を描いた作品なのですが、本作に登場するマダムたちはどんな女性なのかというと………独身を謳歌してきた沙苗さん、離婚後シングルマザーとして生きてきた栞さん、夫に先立たれ独り身になった晴子さんの3人です。
作中では明示されていないけれど、たまに昔話をしていることから古くからの付き合いであることをうかがわせるこの3人。時には辛い出来事や別れを経験しながらも、それぞれの人生を精一杯生きて半世紀を歩んだ今、3人は“ルームシェア”という形で再び交わるのです。
美術館に行く際はそれぞれ思い思いのファッションに身を包み、自宅ではちょっと良いコーヒーを淹れておうちカフェを楽しんだり……日々のささやかな幸せを享受しながら、周りの目を気にせずに人生後半戦をエンジョイする彼女たち。その様子は、まるでABBAがBGMに流れてきそうなほどポップ。でも決して焦ることも、互いを比較することもなく、どこか“余裕のあるご機嫌感”は読んでいてとても心地よいです。
それじゃまた人生後半戦で会いましょう
リプトンの紙パック片手に教室で語り倒したり、スタバで恋話に花を咲かせたり、昔はたくさん楽しいことがあった。また、昔のような友人関係を育めたら……いやいや! でも人生後半にこうやって過ごすのめっちゃ良くない!? と、言うなればシン・友人関係の在り方を私たちに教えてくれる『マダムたちのルームシェア』。
人生後半で再び友人と交わる日を楽しみに、今日も自分の人生を精一杯生きたいものです。
文/ちゃんめい
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